人材とは、企業が存続するためになくてはならない人間でいう血液のようなものです。
人材採用がうまくいかない=企業活動がうまくいかないことと同じです。
企業が成長するためには、「人」「もの」「金」この3つを考えられない経営者は、失格です。
「人」は言うまでもなく人材=社員、人をどのように教育していくか?配置していくかです。
「もの」は製品や設備、会社がうまく運営していくための投資物です。
「金」字の通り資金、金を使って新たなものを買う、投資する計画を遂行するための必要なものです。
企業を運営していく人は、「人」「もの」「金」の重要性はわかっていますが、なぜ人材採用で困っている会社が多いのか?
今回は、人材採用採用の上手くいかない企業の原因と、採用に成功している企業との違いや成功事例、改善点などご紹介します。
人材採用がうまくいっていない企業の5つの特徴
1 求人者に企業のいいところが伝わっていない。
現代社会は競合他社がいない業界はない時代です。
「この事業はうちでしかやっていません!」「世界でうちの会社だけです」ということが求人者に対して言えないのですから、あなたの企業に応募してみようという候補者は必ず比較をします。
どんな会社なのか?入ったときにイメージができにくい会社は候補者にとっては不安でしかないので、あなたの会社は選ばれないでしょう。
そしてあなたの会社に魅力がないために、希望するような人材は採用できず、残らず、結果としてよい採用=企業のレベルアップができないのです。
2 企業側がいいところしか見せない。
殆どの会社がそうなのですが、企業の魅力をPRします。
それはそれでとても大切なことなのですが、求人者も就職ということは人生の一大事です。
いいところだけ見せても、必ず悪いところがあると思うものです。しかし、求人者に対しても会社のポリシーをしっかり見せて、判断をさせるべきです。
悪いところを羅列して、PRする必要はありませんが、例えば、
「必要に応じて、残業はありますが、社内規定があり20時間以上することはできません」
「水曜日はシステムが18:00定時になると停止しますので、業務ができなくなります。それまでに業務を終了させる必要があります。すなわちノー残業デーです。」
「賞与も成果に応じて出します。評価制度があり昨年は一律基本給の3か月分支給しました。」
「賞与は成果に応じて出しますが、評価制度があり、社員により年間基本給の1~5ヶ月分支給しました。」
など。
会社に何も悪いところがなく、全てにおいて最高であるということはありえません。
真摯に求人者と向き合う姿勢が足りないと求人者に見透かされてしまいます。
3 経営者側の採用に対する姿勢
いい人材を採用する、いい人材に長く勤めてもらう、いい人材が入りたいと思う会社にする、これは経営者側の考えが大きく作用します。
いくら人材担当の社員が一生懸命に働いても条件や待遇、会社の方向性を決めるのは経営者側です。
「人材は宝だ」「人材=人財」という方が多くいますが、社員を使い捨ての駒のように考えている会社ではいい人材は集まりません。
また、利益を生み出しているのは社員であるという考えがあれば、待遇改善や、働きやすい環境を作っているはずです。そういう会社には自然と人が集まります。
人材採用に対しても経営者側に危機感があれば、なぜ良い人材が集まらないのか?
形だけの研修などをしたところで定着もしません。
担当者任せでいい人材が取れていないと嘆いている経営者が人材採用は未来の投資であることを理解して、向き合う必要があります。
4 採用する部署が総務や庶務など兼務している。
人はある一定数は定年などで自然減しますし、自己都合で辞める
ケースは防ぎようがありません。③とも関係があるのですが、人材採用を簡単に考えている会社は、いい人材が集まりません。
人事部などがある会社が素晴らしいということを言っているのではなく、規模が小さいため、部署まで作るまでではないという会社も多いでしょう。
その上、多くの企業では、総務部の人事担当が様々な仕事を掛け持ちしており、人材採用に力を入れられていないという現状もあります。
集中して人材発掘の業務に力を入れられない会社にいい人材は集まりません。
人材採用もただ面接して採用するだけではありません。
新卒であれば大学や専門学校に行き情報を収集することも必要です。就活フェアなどに出展もあるでしょう。
どの部署の社員が不足しているか、人材募集計画を長期短期で立案しなければなりません。
内定後はアフターフォローもあります。兼務していてはそこまで手が回りません。
採用を業者任せにする、もしくは業者を使わない。
人材については、人材紹介会社や業者に依頼しているので、任せっきりにしているという会社もよくありません。人材紹介会社はあくまでも
第三者であり、その会社の社員でない為会社のことがよくわかりません。
ふるいにかけ、選別してくれるのはいいですが、全てを業者任せにするのはよくありません。
その業者にどのような人材が欲しいのかをしっかり理解して紹介してもらうことが大事です。
また、業者に委託すると費用が掛かるということがあり、自社ですべてを対応するという会社も多いでしょう。
しかし、人材紹介会社はプロです。彼らから求人者のトレンドや、情報を入手できますし、採用のアドバイスももらえます。
「費用が掛かるので使わない」ではなく、人材採用に関わる知識や情報を得ることを怠ってはいい人材は集まりません。
採用に成功している企業との違い
採用がうまくいっていない企業の特徴を先ほどお知らせしましたが、成功している企業も多くあります。
人材採用に失敗している理由ですが、大きくはこの5つです。
失敗している企業
- 求人者に企業のいいところが伝わっていない。
- 企業側がいいところしか見せない。
- 経営者側の採用に対する姿勢
- 採用する部署が総務や庶務など兼務している。
- 採用を業者任せにする、もしくは業者を使わない。
人材採用に成功している企業
自社の強みや、魅力をPRできる企業
魅力を作り出そう、発信していこうと努力している企業です。
合わせて自社の社員がこの会社に入ってよかったと思える実体験の話や、仕事のやりがいを若手、中堅、ベテラン社員が、しっかりPRできる会社です。
候補者と企業の意思疎通が取れている企業
求人者や候補者に対して、企業側も情報をできる限り開示し
候補者が入社した後、「こんなはずではなかった」「こんなこと聞いてなかった」など入社後に起こりえる問題をしっかり求人者や候補者に伝えている企業です。
経営者側の意識
いい人材が取れないことだけでなく、人材流出や離職率が高いことを経営者側がしっかり経営課題としてとらえていて、対策を打とうとしている、実際対策している企業は人材採用に成功しています。
社員だけに変革を求め経営陣が何も変わらない会社では、いい人材は集まりません。
人材採用専任社員がいる
採用専任社員がいる、且つ採用戦略がある会社です。
人数は規模によりますが、掛け持ちなどさせずに専属で対応させることが重要です。
各部署などで人材不足や人材過多が起きている現状を調査し、更に社員に対して会社をより良くするためのヒアリングや改善を人材採用に活かせる人材を社内に配置すべきです。
第三者の意見を上手に活用
人材紹介会社にアドバイスをもらう。
今のトレンドや給与情報、どのようにしたらいい人材が集まりやすいか、彼らは情報を持っています。
成功体験を得て、自社の採用戦略の参考にしましょう。失敗体験も
情報持っているので、参考になります。
人材紹介会社などが主催する就職セミナーや、多くの会社が出展する就職フェアなどにも参加し、求人者の生の声、他社の情報なども得られます。
アフターケアができる企業
面接をしていく段階で人事担当者を候補者のコミュニケーションを密にしていく。
新卒であれば、選定がすすんで面接があるタイミングで10人に1人程度(採用人数の規模にもよります)の採用担当者をつけてサポートする。
候補者が何を考えているのか?面接では聞けなかった細かい質問など対応していくことも必要です。
また内定を出した後、入社後にイメージができるように月1回程度内定者で会食や話をする機会を設けておくとよいでしょう。
社会人は学生と比べて厳しいことは、みんなが知っていますが、どう厳しいのか?なぜ厳しいのか?新卒者は、経験がないためわからないのです。
初めて社会に出る新卒者に対して、親身になってあげることが大事です。内定から何もせず、ほったらかしておくと、入社式に社員が現れないということもあります。
中途採用者であれば、社会人経験がありますので、どこの部署に配置するか即戦力を求めるケースが多いです。
入社後の配置はほぼ、決まっています。
入社した後、その部署の社員と初めて会うのではなく、入社前にその部署の責任者と会食などしてフランクな関係を作っておくとよいです。
入社前に腹を割って会話しておくと採用者の不安も解消され、入社後にスムーズです。
採用がうまくいっていない場合は改善点を探る
募集しても候補者が応募に来ない、入社してもすぐに離職する。
このような企業は、しっかり現状を分析し、分析した結果を議論し、絵に描いた餅にせず、実行に移すことが必要です。
行動の前に分析しましょう
自社の強み・弱みを理解できているか?
どういう人材が欲しくて、現在在籍している社員は適しているのか?将来どのような会社にしたいか?
会社が考える良い人材とは何か?
その人材が入社して何をさせたいか?
長期的な育成プランを立てることが重要です。
徹底的に議論しましょう
改善できる点はあるか?
給与面、待遇面、労働条件、福利厚生など、他社との比較を行い、どこを改善できるか?
金を使わずに改善できること。
金を使わないと改善できないことを区別し、金を使わないでできることからすぐに変革していく。
金を使わないと改善できないことは、
金を使ったらどうなるのか?
どういう会社になるか?
改善できるかを徹底的に社内で議論してください。
もちろん決定権者(取締役、役員で議論をして、部課長レベルにもしっかり落とし込む。
全社の取り組みであることを周知させ、よい会社にするための議論を全社で行う。
どういう人材がこの会社には望ましいか、社員へのアンケートも行うとよいでしょう。
対応は迅速に行いましょう
良い人材を取る為に会社としてできる事、できないことをはっきりさせ、できる事についてさらに議論を重ね、できるだけ早く実行する。
(よい例) 給与は大幅には上げられない。
しかし業務のスリム化を行い、効率的に出来ることを徹底的に行い、人的リソースを増やす。
社内でお金を新たに使うことなく、まず業務の見直し、棚卸をしてみる。
ただやみくもに人員整理、縮小をするのではなく、無駄を省くことが必要です。
増やしたリソースで社員教育を充実させる。他の事業に配置転換も可能です。
さらに人材採用担当の社員を増やす、さらに新たな改善点を探ることもできます。
(日頃の業務が忙しく、社員を長期的な視点で教育できていないため良い人材が会社に残らない為。)
(ダメな例) 売り手市場だからといって、ろくに調査もせずに、安易に給与を上げ、基本的な方針は変えない。社員は報酬だけでなく、
働き甲斐を求める傾向にあります。給与が高いだけでは、いい人材を取ることができません。
まとめ
採用で失敗している企業、成功している企業、いろいろなケースがあります。
どんなにいい商品を開発しても、いつかは陳腐化します。
どんなにいい家を建てても、人が住まないとすぐに傷んでしまうのと同じです。
いい企業であってもいい人材が揃わないとその企業は倒産してしまうことになるでしょう。
作る人、売る人、管理する人、今はAIで対応できることも増えていますが、それを操作して使う人は人間です。
いい人材が増えれば、社内は活性化します。
すぐに結果は出ないかもしれませんが、新卒でも中途でも企業は社員を育てていくしかありません。
利益を生む根源はいい商品、サービスではありません。
社員が利益を生むことを理解しましょう。
甘やかすことではなく、採用者が入社後にイメージしやすい企業であることが必要です。