求人広告を出しても、希望する人材が集まらない、せっかく入社した社員がすぐに辞めてしまうなど、採用業務の悩みを抱える企業も多いのではないでしょうか。
多くの求職者は、求人サイトやSNSや企業HPなど、あらゆる方法を使用し、希望条件に合う企業を探します。
採用業務が上手くいかない企業はもしかすると、求職者が本当に求めている企業情報を、発信しきれていないのかもしれません。
今回は採用担当者が知っておきたい、求職者が仕事を探す上で重要視する企業情報やポイントなどをご紹介致します。
平均的な転職活動期間は3か月~半年
転職したいと考える人が、実際に転職にかかる期間は3か月から半年くらいと言われています。(2019年7月リクナビNEXT 参照)
また在職中に転職活動を始めた人が6割強、退職後に転職先を探した人が3割強という結果になっていました。
転職活動で大切なのは、十分な情報収集です。
求職者が転職を考えはじめると、まず自分の能力や経歴を洗い出しや志望動機など自己分析をし、次に情報収集を行い、その中から働きたいと感じた企業へ応募を出し、選考を経て採用となる流れが一般的でしょう。
在職中に転職活動を行う人は、転職活動に割ける時間が限られるため、スケジュール管理と共に、効率的な情報収集が必要です。
対して退職後の転職活動は、時間にゆとりはありますが、次の就職先が決まらないと、無収入、面接官にネガティブな印象を持たれるなどマイナス面が多くなります。
また十分に情報収集を行わずに活動を続けていると転職活動が長期化する、焦りから転職先とのミスマッチが起こり、再び転職活動の必要が出てくる可能性があります。
そのため、転職活動の成功の秘訣は、自己分析と十分な情報収集に掛かっていると言っても過言ではないでしょう。
就職先を探す方法は多岐に渡る
転職希望者は自分の能力や希望に見合う企業を、さまざまな方法を使って探します。
従来は、ハローワークや求人広告、転職サイトで、募集を掛けている企業へ応募するという形が一般的でした。
2022年現在、働く場所を探す方法は、バラエティーに富んでいます。
特にコロナ禍で、即戦力を求める傾向が強まり、求人広告を見た求職者からの応募を「待つ」のではなく、欲しい人材を企業から「獲得」しに行く方法が主流になっています。
例えば、知人や前職の関係者などを自分が勤務する会社へ紹介する「リファラル採用」、SNSを利用し、気軽な方法で自社を紹介する「ソーシャルリクルーティング」、「副業」を通じ、本採用へと導くなど、積極的に自社をアプローチする方法が、注目を集めています。
企業が求める人材や自社を積極的にPRすることは、求職者だけではなく、“自分にマッチする企業があったらいつか転職したい”と考える潜在求職者の目にも止まることになり、優秀な人材を採用につながるメリットがあります。
そのため、採用活動を活発に行いたい場合、1つの方法に問わられず、公式SNSや複数の求人サイトや自社HPなど、複数の方法を使い分けて募集を行いましょう。
求職者が求めている企業情報7つをご紹介
では、求職者は具体的にどのような情報を求めているのか、代表的な7つをご紹介致します。
詳細な業務内容
転職サイトや求人広告を見ると、営業や事務、システムエンジニアなど、希望する職種を選択できるようになっています。
ただ、ひと口に営業といっても、新規顧客を増やす業務がメインなのか、既に取引のある顧客のサポートなど、会社によっても違いがあります。また自社の製品を売り込むには、ある程度専門的な知識や経験を必要とする場合もあるでしょう。
同じく事務の仕事も、データ入力や分析、資料作成や秘書の要素が強いなど範囲は広く、業種や会社によって求められるスキルや、業務内容に幅があります。
募集要項の希望職種には、未経験職種から転職希望者や新卒者でも分かりやすく、具体的な業務内容を記載することで、求職者が事前に業務内容を想像しやすくなります。
企業が求める人物像
日本経団連の調査によりますと、企業が社員を採用する時に求める能力と第1位に上げられるのは、「コミュニケーション能力」でした。コミュニケーション能力は、職場では挨拶からはじまり、プレゼンや会議などで、業務をスムーズに行う上で、最低限求められるスキルです。
コミュニケーション能力に続き、求められる能力は、主体性、誠実性や協調性などが挙げられています。
例えば、自分のスキルアップや、取得した資格や経験を活かしたいと考え、転職先を探している求職者を想像してみてください。
単に「主体性がある方」と書かれているより、「新規事業開拓予定のため、○○経験があり、一緒に力を合わせてくれる方」、というように具体的に書かれている方が、入社後の働き方が想像しやすく、より条件に合う人が集まりやすいのではないでしょうか。
欲しい人物像や企業が人材を募集する理由を分かりやすく記載することで、条件に近い人の目に止まりやすくなります。
企業と求職者との間にミスマッチが起こらないよう、求める人物像は出来るだけ詳しく記載しましょう。
オフィス環境や社風
フルタイムで働く場合、1日の活動時間の多くの時間をオフィスで過ごすことになります。そのため、職場環境の様子を事前に知ることは大切です。
活気のある環境の方がやる気が出る人、反対にガヤガヤした環境だと落ち着かず、静かな場所を好む人など、人によって快適と感じる環境には違いがあります。
また社風も大きな要素となります。
チームでの作業を好む人が、主体性が求められ、個人の能力が試される実力主義の職場では、相談相手がおらず孤独感を感じてしまいます。
反対にやる気に満ちていて、チャレンジ精神旺盛な方が年功序列の社風の職場にいては、物足りなさを感じてしまうでしょう。
近年は、業務内容と同じく、オフィス環境や社風も転職先を選ぶ上で重要となっていますので、求職者が想像しやすいように、オフィスの様子を具体的に起債する事で、自社にマッチする方が集まりやすくなります。
働いている(働いていた方)のリアルな声
自社サイトの中に「先輩の声」として、社員の体験を紹介する企業HPを見たことはないでしょうか。
社内の事は、実際に勤務経験のある人(退職者の含む)の声を聞くのが一番かもしれません。大手転職サイトのアンケートでも、転職を検討し始めた時期に、6割の方が求人サイトの口コミを参考にしているというデータが出ています。
口コミには、社内の良い面だけはなく、残業が多い、担当業務の範囲が広いなど会社の課題や退職者のリアルな退職理由など、ネガティブな面も掲載されているケースもあります。
良い情報ばかりではなく、マイナス面を見ることは、転職活動をスタートさせようと考えている方には、とても重要なソースとなります。
企業側は、求職者が口コミを有用な情報源として参考にしていることを覚えておきましょう。
キャリアアップや研修制度
国は、派遣元会社に派遣社員のキャリアアップ教育を義務化する、人材開発支援助成金を支給するなど、従来から社員教育には力を入れています。
進化し続ける世の中に合わせ、キャリアアップを理由に転職を考える方も多く、入社後の研修制度や人材教育にどのくらい力を入れているのか、求職者は強い関心を持っています。
新入社員に対して、研修制度を設けていても、中途採用社員には何も行っていないという企業も少なくないでしょう。
新入社員と違い、中途採用社員は一般的なビジネスマナーは身に着けているとはいえ、新しい職場では、新入社員とあまり違いはありません。
やる気のあるキャリアアップを望む中途採用者こそ、企業の研修制度や教育体制に強い関心を持っていると言えます。
ワークライフバランス
働き方改革やコロナ禍による影響で、働き手を確保するため、企業は従業員に対して、柔軟な働き方が出来るよう、対応を求められています。
入社後数年~10年位の社員は、出産や育児で出産前と同じような働き方を継続していくことは難しく、生活に合った働き方を求め、転職を考える人も出てきます。
特にコロナによる感染防止対策で、リモートでの業務を求められ、コロナ禍から3年経過した今では、IT企業や金融業などは、リモートワークの可否が求職者のトレンドになりつつもあります。
時短勤務や育児・介護休暇、リモートワークなど、プライベートの時間を守りつつ、仕事が続けたい求職者にとって、ワークライフバランスを保てるかどうかは、重要な内容になっています。
待遇や給与
待遇や給与面は、生活に直結するため、求職者のほとんどが意識する内容でしょう。
自分の持っている資格や経歴、ポジションごとの待遇やキャリアアップ、福利厚生や昇給制度の内容などは、特に正確性と透明性のある情報開示が必要です。
入った後に、話の相違が生じないよう、特に注意して掲示する必要があるでしょう。
企業情報は「鮮度」「正確」「具体性」が大切
求職者が転職活動中に興味を持つと、転職サイトの口コミや企業HPを閲覧する、公式SNSなど、もっと企業について知りたいと思い、情報を集めようとします。
では、企業が情報を発信する上で、大切な3つのポイントをご紹介します。
常に最新の情報を発信しよう
企業に興味を持ち、企業HPを閲覧しきにきた求職者が、更新日時を見て1年前の物だったら、どのように感じるでしょうか。
企業HPは採用活動だけではなく、企業全体のPRの役割も果たしています。そのため、更新があまり頻繁にされていないと、従業員の採用に消極的に感じてしまう、業績が停滞しているのではないかと、閲覧者にネガティブは印象を与えてしまいます。
Twitterやブログなどは、更新頻度が上がることで閲覧者が増えるため、頻繁な更新がされていると、それだけ、多くの人の目に止まりやすくなります。
企業HPや公式SNSは大切な企業PRの場と考え、採用担当者は、業務内容や採用ページが常に最新の情報となるよう、頻繁な更新を心がけてください。
正確な情報を載せよう
研修期間は、提示されている時給より低いと面接で言われた、業務内容が求人サイトの内容と違う内容だったなど、求人広告や転職サイトに書かれている内容と、入社後に相違が有り、採用者とトラブルになった、という話を聞かれたことはないでしょうか。
求人広告や求人サイトに書かれている内容と実際の待遇や業務内容に違いがあると、採用者は不信感を感じ、場合によっては退職理由となるケースもあるでしょう。
近年はそうした声を、元社員が口コミとして求人サイトやSNSに掲載する場面も見受けられます。
他の求職者が、そうした口コミを参考にすれば、求職者の興味は簡単に他の企業へ流れていってしまうでしょう。
また公式SNSや企業HPは外部の人間だけではなく、社員もチェックしていることを忘れてはいけません。
正確な企業情報は、会社の信頼や誠実性を表します。掲載内容が正しいものであるかどうか、掲載前に社員同士でしっかりと確認する必要があります。
具体的な内容を掲載しよう
繰り返しになりますが、企業で行っている事業やサービス内容、求める人材は、新入社員や未経験業種からの応募でも、想像しやすく詳しい内容を記載しましょう。
実際に働いてから、会社と採用者とのミスマッチが判明すると、お互いに時間とお金のロスになりますし、ダメージにもなります。
企業情報の見やすさ分かりやすさを、面接時に応募者へ聞いてみるのも、一つのアイデアかもしれません。
企業情報は社員同士で共有しておこう
近年トレンドとなっている採用方法の1つに、社員の知人を紹介する「リファラル採用」があります。
リファラル採用は社内の人間が紹介者となり、知人をスカウトする訳ですが、スカウトする社員が自社の企業情報や募集業種について、正しく理解しておく必要があります。
紹介した社員から聞いた内容と、採用担当者や現場担当者との間で意見の相違があれば、紹介者へ不信感を与えてしまいかねません。
企業情報は、日ごろから社員同士が共有できるようにし、有能な求職者が他の企業へ移ってしまわないように、気をつけましょう。
まとめ
今回は、求職者が求める企業情報についてご紹介しました。求職者は企業の具体的な内容や、正確性、新しい情報を求めています。
この記事を参考に、企業情報の発信の仕方や募集方法について、検討してみてください。
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内定者による入社後ギャップの原因や改善すべき課題をポイントを交えて解説します。