採用活動でミートアップという言葉を聞いた事はないでしょうか。
採用ミートアップとは、近年企業の間で注目と集めている採用方法の一つです。
ではミートアップとは何なのか、採用活動に取り入れるにはどのようにすればよいのか、企業の採用活動におけるポイントや、メリット・デメリット運用していく上で気をつけたい点などをご紹介致します。
採用ミートアップとは?
ミートアップとは、簡単に言えば「交流会」の事をいいます。
ミートアップは、2001年創業のアメリカのミートアップ社が作った造語で、ミートアップ社が提供するプラットフォームサービスからスタートしました。
主催者がSNSで開催日を知らせ、趣味や勉強など、共通の目的を持つ人たちを集めます。
主催者や参加者同士が互いに知識を深め合い、コミュニティを作ることを目的としています。
採用の場におけるミートアップは、企業が主催者となってテーマを出し、興味を持つ参加者を集めます。
企業は、参加者との交流を経て自社に興味を持ってもらい、いずれは自社で共に働く仲間を探したいという目的で開催します。
参加者は企業やテーマに興味がある人物が、企業との接点を持つためや、テーマについて知識や情報を得るために、参加をします。
採用活動にミートアップが取り入れられた背景
採用活動にミートアップが取り入れられたのは採用方法の多様化と働き手不足により、自社に適する人材の採用が困難になっている背景がありました。
2010年頃より採用活動が多様性を増し、さまざまな採用方法が取り入れられるようになりました。
採用ミートアップは、2015年頃より取れ入れる企業も現れ注目を集めるようになりました。
ミートアップは、直接お互いの顔を見ながら、参加者同士交流を深める事を目的としています。
そのため、働いている社員のリアルな声が聞けることや、カジュアルな雰囲気の中で、参加者の人柄や知識が表れやすいなど、企業にとっても参加者にとっても、利点が多い採用方法と言えます。
採用ミートアップの種類3つをご紹介
企業が取り入れている採用ミートアップの方法には、大きく分けで3つの方法があります。
気軽に参加できるカジュアルなものから、よりダイレクトに採用へとつなげる方法があるため、企業規模や業務の種類によって、どのタイプが向いているのか参考にしてみてください。
① 交流会タイプ
参加者同士がリラックスした雰囲気の中で会食をしたり、雑談をしたりして、交流を深めていきます。
交流会は主催者である企業の社員も参加し、実際の会社の様子や仕事内容をライトな雰囲気の中で話しをし、企業や業務内容に興味を持ってもらう事を目的としています。
積極的に転職先を探しているという人だけではなく、参加テーマや業務内容に興味がある方、学生など参加者を絞り込まずに、開催します。
まずは企業の認知度を上げたい、事業拡大につき、知識のある人材を集めたい場合に向いている方法です。
② 勉強会タイプ
テーマを決め、そのテーマの知識を深め合う勉強会タイプの方法です。
勉強会に参加する方は、テーマや企業に興味を持つ勉強熱心な方が多く集まることが予想されます。
単発で行うより、シリーズ化して定期的に行う中で、企業と参加者が双方の意識を高め合い、その中で適正だと思われる方を、スカウトするという方法もあるでしょう。
また参加者の中には知識を豊富に持ち、採用後即戦力となる方と出会える可能性もあります。
③ 説明会タイプ
①や②と比較すると、ダイレクトに参加者を採用へと近づける方法です。
面接よりやや柔らかい雰囲気の中で、自社の雰囲気や事業内容、働く社員の声などを紹介します。
企業側からすると士気の高い母集団形成をしやすく、参加者から見ると実際の現場の様子や雰囲気、仕事内容や企業が目指すビジョンなどをより詳しく知ることが出来ます。
参加者の中から、よりマッチする人を選考し、採用に導いていく方法です。
採用ミートアップの基本的な流れ
採用ミートアップを行うには、いくつかの手順があります。ミートアップが成功すれば、主催者である企業の印象もUPし、参加者同士の交流も活発になります。
有意義な交流会にするためには、まずは1つ1つの作業をしっかり行いましょう。
ここでは、採用ミートアップを成功させるための基本的な流れをご紹介致します。
① テーマやターゲットの決定
まずはミートアップで扱うテーマや目的を設定します。テーマや目的を決める理由は、内容に興味を持つ母集団を形成するためです。
ただやみくもに交流会を開いても、参加目的がはっきりしなければ、企業が求める参加者にバラつきが出てしまいます。
どんなターゲット層に参加してもらいたいか、求める人物像から逆算して参加して欲しい対象を絞っていきます。
採用ミートアップの最終的な目的は、ファンを増やす事、自社に適性のある人を採用する事なので、自社の事業に関するテーマや目的をしっかり決めていきましょう。
② 集客作業
テーマやターゲット層を絞ることが出来たら、続いては日時と会場を決め、参加者を募ります。参加して欲しいターゲットに合わせて集客作業を行いましょう。
交流会告知方法としてはSNSが主流ですが、SNSの他にもオウンドメディアなどを通じて告知し、参加者を集める方法もあります。
集客作業を行ったあとは、参加方法のお知らせテンプレートを作成する、参加者を選出しし管理するといった作業を行ってきます。
③ 準備作業
集客作業と同時進行で、開催に向けての準備を進めていきます。
テーマに沿い、フランクな進行の流れにするのか、勉強会のようなやや硬いイメージにするのかを大まかに決め、スケジュール、コンテンツに合わせた資料作りなどを行って行きます。
複数の社員からの意見を交えて、内容を固めていくと良いでしょう。
またフランクに話ができるような進行の仕方、会場のボルテージに合わせコンテンツの優先準備を決めるなど、場の雰囲気に合わせて柔軟な対応が出来るように、工夫してきます。
④ 開催
当日は参加者のモレが無いようしっかりと確認をします。
準備したスケジュールに沿い、参加者の様子を見ながら、コンテンツを加えたり、減らしたりして、スムーズに進むように段取りを行います。
また、参会者のみが知ることが出来る情報や、社員によるリアルな職場の雰囲気などが聞けるなど、参加者が楽しめるような工夫をします。
他にも役員クラスの方も参加してもらい、カジュアルな雰囲気の中で、参加者と交流を深めることが出来れば、参加者の満足度も上がり、自社への興味も増すでしょう。
⑤ 振り返り
ミートアップは、定期的に開催し、関心を持ちつづけてもらう事が大切です。
開催したら終わりではなく、アンケートなどで参加者の声を聞き、内容について振り返りを行いましょう。
テーマと参加者の関心はマッチしていたか、進行がスムーズだったか、コンテンツ制作は参加者の気持ちをつかめる内容だったか、さまざまな観点から振り返り、次回に活かしましょう。
また、今回行ったテーマの反応を見ながら、違ったテーマでの開催をし、新たな参加者を募るといった方法もあります。
何度か開催を行い、参加者との交流を深めつつ、企業に適正な母集団を形成して行かれるよう中長期的な視点が必要です。
採用ミートアップのメリット・デメリット
採用活動にミートアップを取りいれた場合のメリット・デメリットをご紹介します。
① メリット
採用ミートアップの最大のメリットは、自社に興味を持つ人たちを増やせる事です。
自社に興味を持ち交流会に参加をし、リラックスした雰囲気の中、社員と直接触れ合い、業務内容を知ることで、より企業風土や事業に興味を持ってもらうことを目的としています。
定期的に開催することで、参加者が企業についてもっと知りたいと感じれば、続けて参加をするでしょうし、自分に合わなければ、離れていくでしょう。
転職を考えていないがテーマには興味があり、何となく参加してみたというような転職潜在層も、当日楽しむ事ができれば、企業に興味を持ち、採用につながるという可能性もあるかも知れません。
また一つのメリットとしては、費用が低く抑えられる点です。
会場を企業で行えば、写真や映像では伝わりにくい、企業の雰囲気を知ってもらうことが出来る上、会場費のコストを抑える事も出来ます。
② デメリット
ミートアップはテーマの設定から集客・参会者のデータ管理やコンテンツ制作など、多くの工程を必要とします。
さまざまの工程を自社の限られた人数と日程で行わなければならず、担当者の業務負担は大きくなります。
また、開催ごとにテーマに適した集客を行う必要があり、告知する媒体をしっかり選択しなければなりません。
担当者の業務負担を少なくするコツとしては、手ごたえのあったテーマを何回か開催し、開催ごとに違う参加者を選出する、SNS以外にもWantedlyやconnpassなどのミートテックに適したメディアを利用するといった工夫も必要です。
採用ミートアップを行うポイント
採用ミートアップを行うには、いくつかのポイントがあります。
主催者も参加者も有意義な交流会となるように、次のポイントをしっかり押さえましょう。
① 少人数で開催する
交流会の目的は参加者と主催者がカジュアルな雰囲気の中、お互いの交流を深めていくことです。
人数を絞ることで、参加者が発言や質問をする時間が得られるなど、充実した時間を過ごせるようになります。
② 参加者の公平性を保つようにする
参加者は企業やテーマに興味を持ち、申し込みをします。
参加申し込みの段階で、大学名による選別など、公平性を欠くような選別方法は行わないようにしましょう。
こうした不公平な行為がSNSにより拡散されてしまいますと、企業の信頼を大きく損ないますので、申込が多く選出が漏れても、申込者が納得できるような理由が必要です。
③ リアルな体験を得られる場所にする
参加者が求めるのは、社員のみが知っているリアルな体験や、HPやパンフレットには乗っておらず、参加者しか聞けない特別な情報です。
参加者が参加して良かったという、特別な情報を用意する事で、より参加者の満足度が上がります。
④ 定期的に開催する
ミートアップは会社について知ってもらい、興味を持ってもらうこと、参加者の中から適した人材を採用へ導くという目的を兼ねているので単発ではなく、継続的に開催をし、多くの人に参加してもらう事が大切になってきます。
定期的に開催する事で、自社のファンを増やすことにつなげ、その中から自社に合う人を見つけるなど、長い期間を掛けて採用活動に利用することがポイントです。
採用ミートアップを活用している企業例
採用活動にミートアップを取り入れ、成功している企業をご紹介致します。
① キャディ株式会社
多い時で月10回以上ミートアップを開催し、2019年の参加申し込み者が1000人を超える等、ミートテックの活用で人気を集めた企業です。
プレゼンよりも参加者同士の交流に重点を置く、質より量を増やす、マネージャー層や経営陣の6割をイベントに参加してもらうなどの工夫をこらし、年間90名採用の成果を上げています。
② 株式会社メルカリ
フリマアプリで有名な企業です。テーマを設定し月3回という高頻度で定期的にミートアップを開催しています。
開催前に、エントリーシートで「当日社員に聞きたいテーマ」などのヒアリングを行い、当時は参加者の興味に合わせ、メンバーを決定し、参加者が楽しめる雰囲気を作っています。
当日の流れとしては、20分ほどテーマについて企業から発表し、その後1時間ほどはフリータイムで参加者同士が交流するという時間を取り、参加者がリラックスして楽しめる内容を作り、1年程の時間を掛けてファンを増やすことに成功しています。
まとめ
採用活動におけるミートアップについてご紹介してきました。
人と人との交流を大切にし、長い期間を掛けて、お互いを理解した上で採用活動へとつなげる採用ミートアップは、採用市場が多様化する中で、今後も注目されていく手法の一つでしょう。
採用ミートアップの導入を検討されている企業は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
【人事採用お役立ち資料のご紹介】
「ミートアップ開催の基本マニュアル」
採用手法としてミートアップを利用する際に必要なポイントをご紹介します。