2024年卒の新卒採用解禁日に向けて企業が準備することのまとめ


新卒採用は、毎年政府が定めるルールに沿って進められます。採用活動をスムーズに行うには、決められたルールに従い、計画を立て、スケジュールをこなしていく必要があります。

近年、採用活動の早期化が見られますが、ただ計画を早めるだけではなく、時期により何をするべきか、しっかり理解しておくことが重要です。

今回は、2024年卒の新卒採用に向け、最新情報やスケジュールの立て方、ポイントなどについてご紹介してきます。

2024年新卒活動における最新ルール

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2024年大卒者対象の新卒活動におけるルールは、下記の通りです。

3月1日以降(大学3年生) 就職説明会など広報活動開始
6月1日以降(大学4年生) 面接などの採用選考活動開始
101日以降(大学4年生)正式な内定日

上記ルールは、2024年新卒活動に関するルールは、2023年度より変更ありません。2024年度のルールについては、政府より2022年3月28日に経団連(日本経済団体連合会)へ、上記の内容が要請されました。

上記の他、学生の本文である学業に支障が無いよう、会社説明会や面接日の日程を夕方や、土日等に行うよう、設定されています。

またこれまで不可とされていましたが、2025年卒からは、インターンシップ活動において取得した学生の情報を、一定の要件を満たした場合、選考や採用広報などの採用活動に関する活用することが出来るようになりました。

これまでの就活ルールの沿革

採用に関するこれまでのルールの変化について、ご紹介していきます。

①採用に関する協定~就職協定まで

採用選考に関する協定は、1929年からスタートしました。戦後の1953年になりますと、大学団体や日本経営者団体連盟、文部省および労働省などの各省により、“就職協定”が結ばれ、卒業年度の10月1日以降を選考開始となることが決まりました。

②高度成長期で青田買いの常態化

高度成長期で、採用獲得が激化してくると、大企業が協定を守らず、学生の採用を7月に決めてしまう青田買いが常態化します。

その後も、就職協定は、改定や廃止と復活を繰り返しますが、罰則規定がなかったことと、参加企業も多くなかったため、1996年に廃止になります。

1997年倫理憲章の定め

新卒採用に関するルールとして、次に出てきたのが倫理憲章と呼ばれるものです。経団連が中心となり、1997年に定められました。

内容としては、採用活動の自粛を求めることや、大学の学事日程の尊重といった抽象的な内容のみでした。

2003年~倫理憲章改定で選考開始は卒業年度の4月から

2003年に倫理憲章が改定され、これまで早期化されてきた選考開始が、卒業年度の4月から選考開始となりました。

その後、経団連より、何度か採用選考に関するスケジュール改定が行われます。

2018年~2021年以降就活ルールの提示は経団連から政府へ

2018年経団連より声明が出され、これまで、経団連で定められてきた就活ルールについて、2021年春以降は政府が主導となり行っていくこととなりました。

経団連が、就活ルールを廃止した背景には、ルールが形骸化しており守られていない、経団連に加入していない企業には適応されない、通年採用へ移行しつつある、という3つが挙げられています。

2024年卒までは現行ルールから変更なし

学生に大きな混乱を防ぐため、2024年卒の学士や修士までは、就活に関するルールは従来のままとなりました。

企業規模別2024年卒採用スケジュール例

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企業規模のスケジュール例について見てきましょう。

大企業のケース

大企業は認知度も人気も高く、応募が集中します。そのため優秀な人材は、早めに採用に向けて動く必要があります。

応募者が多いため、募集方法や適性検査や採用ソフトなど、採用計画や流れを工夫し、効率的に採用活動を行っていくことがポイントです。

インターンシップ 大学3年生6月~翌年2月位 

合同説明会    大学3年生6月~大学4年生4月位

選考       大学3年生2月~大学4年生5月位

内定出し     大学3年生3月~大学4年生8月位

中小企業のケース

中小企業は、大企業に比べて認知度が低いため、春と秋の2回に分けて採用活動を行っているのが特徴です。

一般的な採用活動を行っている学生向けの春採用と、部活動などに打ち込んで来た学生の引退時期や、海外の学校の卒業時期に合わせた秋採用があります。

インターンシップ 大学3年生6月~翌年2月位

・春採用

合同説明会    大学3年生12月~翌年2月位

選考       大学3年生2月~大学4年生4月位

内定出し     大学3年生2月~大学4年生4月位

・秋採用

合同説明会    大学3年生12月~翌年2月位

選考       大学4年生6月~8月位

内定出し     大学4年生8月~10月位

外資・ベンチャー企業合同説明会    

企業の宣伝やインターンシップなどから、そのまま採用となるケースが見られます。SNSを利用した募集やミートアップ採用など、求職者や学生と密にコミュニケーションを取る機会を積極的に作り、理解を深めつつ採用へ繋げていく方法がとられています。

インターンシップ 大学3年生6月~12月位

合同説明会    大学3年生8月~大学4年生5月位

選考       大学3年生10月~大学4年生5月位

内定出し     大学3年生2月~大学4年生5月位

採用スケジュールを立てる際のポイント3つ

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採用スケジュールの流れについて見てきましょう。

・希望する人物像を明確化

最初に、企業が今後事業に力を入れていくのか、課題と向き合っていくために、どのような人物が必要なのか、見極めなければなりません。

新規事業や力を入れたい事業に対し、必要な人数や能力や性格など、希望する人物像を明確にしていきます。

現在、社内で活躍している社員の過去の適性検査や書類選考などを見直し、分析を行い、今後採用したい人物像の具体的に表していきましょう。

・他社や学生の動きと社会情勢の把握

希望する人物像が明確になったら、募集方法について考えていきます。過去に採用した大学や専門学生、学部などをもとに、ターゲットとなる学生の募集方法について検討しましょう。

学生は就活中多くの企業と接触を持ち、自分に合う企業を探しています。認知度の低い中小企業は、学生に知ってもらう事からスタートしなければなりません。

また、競合他社も自社と同じような人物像を求めている可能性があるため、いかに自社をアピールするか、戦略を練っていく必要があります。

その他、採用市場は社会情勢の動きに左右されます。社会全体の動きにも注意したいところです。

・募集方法や選考方法などの採用戦略

ターゲットとなる学生の人物像が決まったら、続いてどのように採用するのが効率的なのか考えましょう。

近年は、募集方法も多様化しています。広い範囲から母集団形成したい場合は、SNSや新卒用求人サイトなどを利用し、専門性の高い技術職などであれば、学部や学校を絞るほか、OB・OGなどが後輩を紹介するなどが挙げられます。

採用担当者だけではなく、現場担当を含め、広い範囲で戦略を練り、採用活動を行っていきましょう。

2024年新卒採用の広報解禁日前後にやるべきこと

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2024年新卒採用の広報解禁日は、大学3年生時の3月1日です。それより前に前年度の流れの見直しと、準備を行っておきましょう。

3年生5月~8月「前年度の見直しとインターンシップ」

前年度の採用状況を振り返り、採用の流れがスムーズに行われたか、採用した人物の就業状況などを見ながら、次年度の採用計画を練っていきます。

それと同時にインターンシップの受け入れの準備に入ります。インターンシップとは、学生が企業で行われる職業体験で、実際の職場で働くことを経験します。

学生から見れば、インターンシップは、入社後の職場環境や人間関係を観察でき、仕事内容が自分に適しているかを体験できます。

企業からすれば、採用前に、学生の働く姿勢や能力を判断できることが、大きなメリットでしょう。

インターンシップは、これまで大学3年生の夏休みに開催されることが多かったですが、秋採用の向け、10月~11月に開催されるケースも見られるようになりました。

インターンシップを行うことで、学生と企業が相互理解を深め、採用のミスマッチを減らし、効率の良い採用活動へとつなげています。

3年生秋ごろ(9月~11月)「広報の準備」

採用広報の解禁日は、大学3年生の3月1日です。解禁日に向け、秋ごろより広報の準備に入ります。

まず宣伝方法を検討しましょう。昨年の状況を元に、就職説明会の開催方法の決定や自社サイトの採用ページの準備、配布法パンフレット、紹介動画や就活生用求人サイトへの掲載など、新入社員の募集宣伝をするための準備を行います。

オンラインで会社紹介を行うなら、紹介動画の作成に必要な人員や期間などを洗い出し、逆算して計画を立てます。

パンフレットや動画は、外注する場合日数を要します。場合によっては、2か月~3か月ほどかかると見ておいたほうが良いでしょう。

採用時期に合わせて、各企業が一斉に同じような動きをするため、出来るだけ早く発注する、複数の発注先を用意しておく、などの準備が必要です。

3年生冬ごろ(12月~2月)「冬インターンシップや最終調整」

大学3年生の冬休みを利用し、インターンシップを開催する企業もあるでしょう。冬休みや夏休みと比べると休みが少ないため、短期間で学生に自社の特徴や魅力が伝えられる内容にする工夫が必要です。

またこの時期になると、採用計画書の作成や関係部署との共有を行い、具体的な採用計画へと移行していきます。

パンフレットや動画の製作状況の進行状況や期日などをしっかり確認しておきましょう。

宣伝の準備と共に、書類選考方法の確認や面接官の研修やトレーニングなども、行っていきます。

広報解禁日を過ぎると、採用担当者は忙しくなります。この時期までにしっかりと受け受け入れ態勢を整えておきましょう。

・4年生春ごろ(3月~5月)「採用活動開始」

広報解禁日が過ぎたら、選考状況を確認します。応募者は集まっているか、ある程度候補者の人数が集まっている場合は、自社の希望にマッチした人材かどうかの確認をしましょう。

応募者の集まりが悪い場合は、再度宣伝方法を変更します。これまで声を掛けていなかった学校にも宣伝する、拡散力の強いSNSを利用する、別の求人サイトへ掲載するなどがあります。

その他にも、ダイレクトリクルーティングといった直接企業から学生にスカウトするという、企業かから学生にアプローチする方法もあります。

また、すでに内々定を出している学生がいる場合は、フォローを忘れてはいけません。第一希望の企業でない限り、まだ就活を続けようとする学生もいます。大学生の約3割は内定辞退をすると言われています。

内々定を出した学生とオンラインやメールなどで定期的に交流を取り、フォローを怠らないようにしましょう。

・4年生夏ごろ(6月~9月)「内定に向けた準備やフォロー」

この時期は、内定に向けて、採用活動もいよいよ大詰めになってきます。最終選考や内定者フォローなどを行っていきます。

内定者へ採用通知の送付、内定式を行う場合は、スケジュールの確認や準備と共に、内定辞退者を出さないように、コミュニケーションも忘れずに行いましょう。

まとめ

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今回は、2024年卒の新卒採用に向けた準備活動について、ご紹介してきました。新卒採用に関するルールは政府主導へと変わりましたが、2024年卒については、混乱を避けるために、例年と変更は見られません。

売り手市場が続く中、採用市場は多様化しており、ルールの確認共に、競合他社の動きを見ながら、しっかりとした活動が求められます。

2024年卒の新卒者の採用に悩む企業は、この記事を参考にしてみて下さい。