【2023年最新版】企業のユニークな事例から学ぶ効果的な内定者フォロー


売り手市場により、新卒内定は年々早期化が進んでいます。

ルール上、正式な内定は卒業年度の10月1日以降とされていますが、実際は内々定という形で、採用の決定が水面下で行われています。

就職先の決定が早くなった分、入社日までの間が空くことになり、場合によっては、入社日まで1年近く間が空くケースもあるでしょう。

費用と工数を掛け、やっと採用者が決定しても、その後のフォローが足りなかったために、他社へと興味が移ってしまっては、せっかくの採用活動がムダになってしまいます。

今回は、内定者フォローの基本と、効果的でユニークなフォロー事例をご紹介致します。

内定者フォローとは

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内定者フォローとは、内定者が辞退することなく、スムーズに入社日を迎えてもらえるよう、企業が入社日まで、内定者に行うさまざまな取り組みのことを指します。

フォローには、オンラインや対面で行われる懇親会や研修などのほか、メールや電話などで個別に連絡を取る方法、アルバイトなど実際に勤務する方法などがあります。

数ある会社の中から応募し、数々の選考を経て内定となる訳ですが、推薦や紹介など特別な理由がない限り、一般的な就職活動では、複数の企業へ応募している学生がほとんどです。

そのため、選考時に持っていた志望動機を維持してもらい、辞退することなく、スムーズに入社して貰えるよう行われます。

学生が内定者フォローに求めていること

内定先が決まった後、学生たちは入社までに、どのようなフォローを企業に求めているのでしょうか。

学生の中には、内定が出たものの、第一希望への選考をまだ控えていたり、もっと自分に合う企業を探したりと就職活動を続ける学生もいます。

就職みらい研究所の調査によりますと、2023年卒予定の学生の内定辞退率は、2023年7月1日時点で57.8%となっており、2社以上の内定を取得している学生は6割以上でした。

つまり卒業年度の夏の時点で、6割以上の学生が複数の企業から内定をもらい、悩んだ末に内定先を決めていることになります。

では、内定が決まった学生が、企業に求めているフォローについて、次のようにまとめました。

・入社後の仕事内容

就活生は、会社がどのような事業を行っているのを十分リサーチした上で、応募しています。ですが、社会人としての経験がないので、想像することが難しく、入社後に自分がどのような仕事をするのか、不安を感じる学生が多くいます。

応募時に、こういう仕事がしていたいと希望に燃え、漠然と想像していた仕事内容も、実際に内定が決まると、具体的に知りたいと考えています。

・先輩や教育係などの人間関係

仕事内容と共に、人間関係もとても気になるポイントでしょう。研修時の教育係や職場の先輩がどのような人物か不安に思う学生も多いのではないでしょうか。

上司や先輩、同僚など、学生の頃と違い、年齢層も幅広くなり、人間関係も複雑になります。交流会や勉強会などで、教育係や職場の先輩と直接対面し、安心できるフォローを求めています。

・社会人としてのマナー

ネットや先輩たちから知識を得ていても、新入社員は、社会人としてマナーを直接学ぶ機会は多くありません。

電話の取り方やメールの書き方、挨拶の仕方など、学校などで習う機会はほとんど無いでしょう。そのため、上司や先輩たちに失礼の無いよう、社会人としてのマナーの基礎を学びたいと考えています。

・内定者同士の交流

自分以外の内定者がどのような人物か、これから共に働く仲間とうまくやっていくことが出来るか、共に選考に残った内定者同士のつながりを求める学生も多いでしょう。

配属までの研修期間中や教育期間中、何かと同期で過ごす時間があります。また配属後でも仕事で関りがあるため、内定者同士でうまくコミュニケーションが取れるよう、交流を深めておきたいと考えています。

・職場環境

労働者が安心して働くことが出来るよう、労働環境は、労働安全衛生法で一定基準定められていますが、快適と感じる環境は人によって差があります。

職場環境には働く場所の室温や明るさ、人口密度などが関係します。仕事中長時間その環境で過ごすわけですから、働く環境は、働く人間関係と同様、気になるポイントの一つでしょう。

内定者フォロー5種類をご紹介

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内定者が入社前に抱えている不安についてご紹介してきました。では、こうした不安を解消するために、企業はどのような内定者フォローを行っているのでしょうか。

内定者フォローの主な取り組み5種類を、ご紹介します。

・懇談会

職場において、人間関係は業務内容と共に不安を感じる要素です。

入社してすぐの頃は、社内のほとんどの事を先輩社員に教えてもらう事になります。そのため、先輩社員との交流を深めておきたいと考えるのは、自然なことです。また同じスタートラインに立ち、これから共に切磋琢磨していく同期についても、知りたいと考える人も少なくありません。

こうした不安を解消し、内定者が職場の人たちに慣れることが出来るよう、開催されるのが懇談会です。

近年はコロナ渦による影響で、オンラインで行う企業も多くあります。

懇親会は、内定者と主催者が、リラックスした雰囲気の中、お互いの交流を深めるために行われます。座談会のようにテーマを決めて、話し合うケースもあります。

出席者は、内定者と年齢の近い入社2年~3年目くらいの社員のほか、管理職やベテラン社員などが同席すると、より職場の雰囲気のリアル感が出るでしょう。

ただし、ベテラン社員や管理職があまり目立ってしまうと、内定者が緊張してしまう可能性があるため、リラックスした状態で過ごせるよう、配慮する必要があります。

・アルバイト、インターンシップ

入社に先立ち、内定先の職場でアルバイトを行い、実際に仕事の一部を体験する方法です。実際に業務に携わることで、仕事に関する認識のズレを確認したり、職場環境を認識したりすることを目的としています。

企業からしても、内定者が実際に働く様子を観察できるため、企業にとっても内定者にとっても、お互いにメリットがあります。

・個人面談

採用担当者や教育係が定期的に個別に内定者に連絡を取り、不安な点や疑問点にヒアリングを行う方法です。

座談会や懇談会の参加人数は、数人から場合によっては、数十人になることもあるでしょう。内定者の中には、大勢の中でコミュニケーションを取るのを苦手とする人がいることも、考えなくてはなりません。

大勢のコミュニケーションでは、自分が出せなくても、少人数や個人同士の方が自分を出しやすい人もいます。

内定者が不安を抱えたまま内定辞退とならないよう、定期的に教育係や採用担当者と話が出来るようにしておくと安心です。

・コミュニケーションツール

座談会や懇親会など、決まった時間や場所へ集まり、参加者と企画者が交流を深めることの他に、コミュニケーションツールを利用する方法があります。

コミュニケーションツールは、SNS型やeラーニング型、両方の機能を合わせたものがあります。SNS型はツール内で、社員と内定者のコミュニケーションを取ったり、内定者同士が交流を取ったりすることが可能です。

その他、eラーニング型では学習コンテンツなどを提供し、知識を向上させる目的があります。

・研修会

社会人としてのマナーや基礎知識について、不安を抱える学生も多くいます。そのため内定者研修として、ビジネスマナー研修やスキル、業務の基本的なことを学ぶ研修会を開く会社もあります。

入社前にこうしたマナーや知識を身に着けることで、内定者の不安を少なくしたり、入社前後のギャップを減らしたりする目的で行われます。

ユニークな内定者フォロー3例をご紹介 

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これまで、内定者フォローの代表的な種類をご紹介してきました。内定者フォローの目的は、内定者が辞退することなく、入社してもらうこと、入社後も職場環境に早く慣れ円滑な人間関係を築くことが出来る事を目的としています。

続いては、少しユニークな内定者フォロー3例についてご紹介致します。

・他己紹介ゲーム

自分の事を紹介する自己紹介ではなく、他者を紹介するゲームです。座談会や研修などの一環として行われます。

自分の隣の人やグループの人など、特定の対象者について、限られた時間で調べて紹介します。

紹介するためには、相手の事をよく知らなければ、紹介することは出来ません。そのため紹介する人へ詳しく質問し、情報を聞き出し、まとめる必要があります。

限られた時間内で相手から情報を引き出す力、紹介する人物がどのような人物か、聞き出した情報をまとめる力、参加者にわかりやすく説明する力が試される方法です。

・グループ対抗ゲーム

グループごとに分かれて、対抗ゲームを行い、お互いの団結力を高める方法です。クイズや謎解きゲーム、共通点探しゲームなどが挙げられます。

ゲームの内容は、勉強や知能を試すような内容ではなく、企業の沿革や商品やサービスなど、企業を題材としたゲームにすれば、自然と盛り上がりますし、今後の知識や業務にも役立つでしょう。

・内定者による社内報製作

社内報とは、定期的に社内や関連する外部で起こった出来事や今後の企業理念、情報などを紹介していく広報のこと指します。

社内報には、冊子やWEB記事、動画などの種類があり、一般的には総務部、人事部などの中から広報担当チームが作成します。

社内報を作るには、企業の中の事を理解していなければ、作ることは出来ません。先輩社員にインタビューをしたり、調べたりすることで、社内理解が深まる事、構成から作成、さらに編集などを通じ、先輩社員や仲間同士で活発なコミュニケーションが取れるなどのメリットがあります。

また、社員からしても、内定者が社内報を作ることで、違った視点から社内を見ることが出来るため、新鮮な発見が見つかる可能性があり、メリットがある方法と言えるでしょう。

・自己紹介ムービー

PowerPointソフトなどを使い、文字通り、自分の強みや長所、考え方、仕事への意欲やモチベーションや内定企業に決めた理由、入社後の目標など、自分を紹介する動画を作り、音楽や映像などを加え、5分程度にまとめた動画を作成してもらう研修です。

作成した動画を内定式や入社式などで披露し、先輩社員などに見てもらう方法です。

まとめ

今回は、内定者フォローの基本と、効果的でユニークなフォロー事例についてご紹介してきました。

内定の早期化が進み、卒業年度の夏には内定者の6割が2社以上の企業から内定を取得する今、内定辞退を防ぐために、内定者に響くフォローが欠かせません。

内定者の不安を取り除くだけではなく、安心して入社日を迎えられるよう、内定者に寄り添ったフォローが必要になってきます。

また、内定者フォローは入社までではなく、早期退職を防止するためにも重要な役割を担っています。

内定辞退者が増えて困っている、内定者フォローの方法に悩む企業は、この記事を参考にしてみて下さい。