内定承諾率が上がらないのはなぜ?明日から実践できる施策を教えます


時間と費用を掛けて採用活動を行い、内定者を決めても、内定者が承諾しなければ、正式な採用にはなりません。

採用活動を行う上で、内定辞退はどの企業でも一定の割合で起こりうることですが、同業他社と比べて内定承諾率が低い、ここ最近下降気味だという場合は、何らかの原因が考えられます。

今回は、内定承諾率が上がらない企業の特徴や、内定承諾率を改善・向上させるポイントについてご紹介致します。

内定承諾率とは

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内定承諾率は、企業が出した内定を出した者のうち、承諾した応募者の割合について表したものであり、内定承諾者数÷内定取得者数の計算式で表されます。

求職活動中は、複数の会社に同時期に応募している人も多く、複数の企業から内定を貰っている人も少なくありません。

そのため、企業はのちに辞退する人を想定し、採用計画を立てる必要が出てきます。

内定承諾率の動向

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内定承諾率は、新卒採用と中途採用で違いがあります。
それぞれの内定承諾率について見てきましょう。

・新卒採用

厚生労働省が公表した調査では、令和4年3月大学等卒業予定者の就職内定率は89.7%で、前年同期を0.2ポイント上回っています。(2月1日現在)

またリクルート就職みらい研究所しらべのデータによりますと、2022年6月1日の大学生の内定率は73.1%となっており、内定まで至らなくても全体の就職活動が進み、企業へエントリーする段階から、最終選考へとすすむ学生の割合が多くなっていきます。

同日現在で、2か所以上から内定を貰っている人も約19%おり、活動が進むと複数の企業から内定を貰う人が増加し、その分内定を辞退する割合も増えてくることになります。

2022年度3月卒業時点(2023年3月卒業)の結果では、61.1%の人が、内定辞退しており、2022年度の最終的な内定承諾率は、40%ほどであるという事になるでしょう。

・中途採用

中途採用でも学生と同様、複数の企業と同時進行で転職活動を行う傾向があり、内定を辞退する事はあるでしょう。

ただし、学生の時と比較すると、内定を辞退する割合はずっと低くなります。

株式会社マイナビが発表した、2021年版中途採用状況調査によりますと、2020年度の内定辞退率は15.7%でした。

上記の割合から考えますと、内定承諾率は約85%と言えます。ちなみに2019年では22.1%でとなっており、辞退率は6.4%減少しています。

中途採用では、学生の時と違い、内定から採用までの期間が短いこと、目的をもって転職活動を行っていること、ある程度の社会経験があることから、内定を辞退する割合が少ないことが考えられます。

内定承諾率が低い理由 

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ここまでは、内定承諾率の動向について確認し、新卒採用で内定承諾率は40%ほど、中途採用では、85%ほどであることが分かりました。

採用活動を行って行く中で、一定数の内定辞退者がいることは理解しているものの、ここ最近内定辞退者が増えている、なかなか人手不足が改善されない場合、どのような理由があるのか、考えてみましょう。

・労働人口減少で売り手市場が続いている

まず考えられるのが、少子高齢化による労働人口の減少です。働き手が減っており、売り手市場になっているため、求職者がより条件の合う企業へと流れていく傾向があるためです。

総務省統計局が発表した日本総人口は、2022年1月確定値で前年同月より0.6%減でした。

注目すべきなのは、15歳未満が1.77%減と全体の3倍の減少率で、反対に65歳以上の人口0.45%増えている点です。  

15歳未満の人口が減っているということは、今後もしばらく労働力不足が続くことを表しており、優秀な人材を確保するために、企業側に、相当な努力が必要な状況が続くでしょう。

・自社の魅力の伝え方が不十分

求職者の争奪戦が続く中、求職者に自分の会社を選んでもらうには、自社の魅力を求職者に届くようなアピールしなければなりません。

最近、募集をかけても集まる人が集まらない、希望する人材とマッチする母集団が形成されない場合、今行っている自社のPRの方法を見直す必要があるでしょう。

自社HPや転職サイト、SNSなど、自社をPRできる方法は多岐に渡ります。

自社HPは定期的に更新されているか、転職サイトの求人情報は、求職者へ伝わりやすい内容になっているか、SNSは希望する人物像の利用率が高いものを利用しているか、一度見直してみて下さい。

・募集がマンネリ化している

募集をかけても人が集まらない理由として、募集要項のマンネリ化が考えられます。

採用を取り巻く状況は常に変化しており、市場状況に応じて、変化しなければなりません。

同業他社の募集状況は、自社と比べてどうでしょうか。

募集をかければ、求職者は集まるものの、内定承諾率が低いのは、他社が自社にはない魅力があるのかもしれません。

求職者が職場を選ぶポイントは、給与や昇給といった比較的分かりやすい待遇面だけではありません。

育児休暇やリモートワークなど働き方の柔軟性、職場の雰囲気の良さやりがいなど心理的安全性の高さなども、ライフワークの変化合わせて、職場を選ぶ際のポイントになります。

募集をかける際は、求職者が企業に何を求めているのか、採用市場状況を調べ、募集内容を見直し、他社にはない、自社の魅力をしっかりと伝えていきましょう。

・内定者へのフォローが不足

求職者へは、採用不採用に関わらず、すみやかに連絡を取りことが大切です。

求職者は、複数の企業へ応募しています。

選考に時間に掛かり過ぎると、求職者は不安や不信感を感じてしまい、他社へと興味が移ってしまうでしょう。

特に優秀な人材であれば、複数の企業から内定を受けている可能性があるため、スピーディで誠実な対応しなければ、たとえ第一希望の企業であっても内定辞退ということになりかねません。

何らかの理由で、自社に興味を持ち応募してきてくれた訳ですから、応募してきた人には誠意を持った対応を心がけましょう。

内定辞退が出る理由

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応募者が内定を辞退するには、いくつかの理由が考えられます。

他に希望する企業から内定が出た、進学を希望するなど、応募者側の都合でやむを得ない場合もありますが、内定後に感じた企業とのギャップや、内定後の対応が不十分だったなど、選考の段階で防げたことや、内定後のフォローに問題がある場合もあります。

それでは、内定辞退がでる理由について詳しく見ていきましょう。

・第一企業に内定が出た

就職活動や転職活動は、複数の企業へ応募するのが一般的です。そのため、内定が出たのちに、第一希望の企業から内定が出れば、応募者は第一希望の企業への入社へする可能性は高まります。

特に優秀な人材は、他社でも求める人材である傾向があるので、積極的に採用したい人材であれば、定期的に連絡を取り、フォローを忘れないようにしましょう。

・応募者が他の社員や社内の雰囲気との間にギャップを感じた

応募者は、応募する企業について、しっかりと調べた上で応募してくるのが一般的でしょう。

ところが、就職活動がなかなか思うように進まず、求職活動の範囲を広げた結果、もともと希望していない職種や、しっかりと下調べしないまま応募した企業から、内定が出てしまうケースもあります。

内定後の内定式や交流会などで、社員や他の内定者と雰囲気が合わないことに気がつき、入社を待たずに、内定を辞退してしまいます。

このケースでは、応募者の企業情報収集と自己分析の不足、企業の選考方法が十分でなかったことが、考えられるでしょう。

・内定後の採用フォロー対応に不信感があった

記事上部でも述べましたように、2022年6月1日の段階で、すでに大学生の約7割以上の方が内定を受けています。

仮に6月に内定を受けていた場合、4月が正式正式に採用となるまで、10カ月も間が空くことになり、内定を受けた企業でも、その後の企業からの対応が悪ければ、他社へ流れてしまう事も十分考えられます。

例えば連絡が遅かったり、書類のやり取りで不備があったりすると、応募者は企業に対して不信感を感じることになるでしょう。

たとえ学生であっても、これから新しく迎える仲間の一人であることには変わり有りません。

学生にビジネスマナーを教える立場である企業が、応募者に不信感を感じさせるような対応を行わないよう気をつけましょう。

内定承諾率が高い企業の特徴

内定承諾率が高い企業の3つの特徴について、見ていきます。

内定承諾率が高い企業は、欲しい人材をピンポイントで募集し、スピーディでムダのない、効率的な採用活動を行っています。

・ターゲットを絞った採用活動

求人方法は、求人サイトやSNSなど多岐に渡りますが、今後の事業展開に合わせて的確な人員を確保しなければなりません。

大切なのは、募集をかける際にどのようなスキルや能力を持つ人を採用するのか、求める人材の人物像やスキルをしっかりと絞っておくことです。

ターゲットをしっかり絞っていないと、希望する人材が集まらない、応募者多すぎるなどの理由から、選考に時間を要することになります。

選考に時間が掛かかりすぎてしまえば、優秀な人材が先に決まった他社へ流れたり、応募者が不信感を感じたりして、内定を辞退することに繋がりかねません。

必要とするスキルを持つ母集団を形成するには、どのような方法を使えば良いのか、どうすればターゲットに自社の情報が届くのか、募集を掛ける前に準備をしましょう。

・選考~内定までのスピード化

次に大切なのが、選考から内定までスピーディに行うことです。応募者は少しでも条件の良い会社を求め、常に他社と比較しています。

例えば二つの企業からも内定をもらい、悩んでいたとしましょう。

応募者から見れば、合否の連絡を待つのはとても不安です。

二つの企業のどちらにするか決めかねている場合、内定までの流れがスピーディで、誠実な対応であれば、応募者の気持ちが、誠実で素早い対応をしてくれた企業へ移るのは、自然なことでしょう。

応募者のターゲットを絞り、選考に時間を掛けず合否を決定する事で、合否を待つ応募者の不安な気持ちを長引かせることなく、誠実な対応をすることが出来ます。

・内定フォローの充実

内定者が決まったら、内定承諾書など、企業と内定者の間で必要書類のやり取りがあります。

内定者へ内定の連絡を早急に行うと共に、内定後の書類の送付などもすみやかに行う必要があります。

また、連絡が遅い内定者には、内定を承諾するか迷っている、帰省等で連絡を受け取っていない可能性がありますので、適宜フォローを入れるようにしましょう。

内定承諾率を上げるには

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最近内定承諾率が下がってきた、募集をだしても希望する人材が集まりにくくなった場合、いくつかの原因が考えられます。

内定承諾率を上げるには、どのような方法があるのか、以下のようにまとめました。

・求人方法の見直し

採用方法には、さまざまな方法があり、ピンポイントで募集したい人材を集めるには、市場の変化に合わせて求人方法を変えていく必要があります。

募集する人材が、技術職や専門的な技術を要するのであれば、自社サイトやハローワーク等で広く募集するより、リファラル採用やミートアップ採用など、ある程度能力や人物像を把握できる採用方法を取りいれた方が効率的です。

・採用プロセスの明確化

採用活動には、いくつかのプロセスがあります。1つでもそのプロセスでつまずくと、活動の流れが滞ってしまいます。

募集や選考、面接といった1つ1つのプロセスごとに、各自がやるべきことを確認し、スムーズに採用活動が行えるようにしましょう。

・面接官の選定の見直し

採用活動で大きな割合を占めるのは面接です。

書類では分からない応募者の人間性やコミュニケーション能力など、限られた時間の中で自社にマッチする人材かどうかを判断しなければなりません。

それには、応募者の能力を見抜くことが出来る、冷静で高度な判断力が求められます。

面接官の選定も、内定承諾率の向上には大切なポイントです。

まとめ

内定承諾率が上がらない企業の特徴や、内定承諾率を改善・向上させるポイントについてご紹介してきました。

応募者は複数の企業へ同時期に応募しており、内定辞退がある程度出るのはやむをえないでしょう。

ただし、自社の魅力の伝え方や、募集方法を見直すことで、内定承諾率を上げることは可能です。

内定承諾率が上がらない、最近辞退者が多く悩んでいる企業は、この記事を参考にしてみて下さい。

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