2025年卒採用に向けた準備と策定


2025年春に卒業する学生を採用すべく、各企業では、準備に取り掛かろうとしている企業も多いのではないでしょうか。

いざ採用準備を行おうとしても、「新卒採用のスケジュール管理をどうしたらいいのか」、「2025年卒採用の進め方や流れが分からない」と悩む採用担当者の方も多いでしょう。

今回は、基本的な新卒採用のスケジュールと共に、2025年卒採用に向けた準備や策定の流れなどをご紹介して参ります。

2025年卒新卒採用スケジュールは従来通り

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2025年卒新卒採用のスケジュールは、前年度と比較して、大きな変更はありません。

新卒採用の場合、通年採用と違い、就活ルールに沿って活動を行っています。2023年11月現在、新卒採用に関するルールは、政府が主導となって決めていますが、3つの解禁日に合わせて日程を決めてきます。

3つの解禁日とは、企業が採用情報を公開できる「広報解禁日」、面接などの選考を開始出来る「選考解禁日」、内定を出すことが出来る「内定解禁日」があります。

2025年の新卒スケジュールもこの3つの解禁日に沿って行われています。

就活ルールにおける「3つの解禁日」

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就活における3つのルールについて、簡単にご紹介します。

・広報解禁日

卒業年度の前年度の3月1日(大学3年生や修士1年など)に、自社サイトでの求人情報の公開、プレエントリーの開始、会社説明会の情報公開、エントリーシートの受付がスタートする日となります。

・選考解禁日

卒業年度の7月1日(大学4年生や修士2年など)から、書類選考や面接など、選考活動が始まる日の事を指します。

就活生は、一般的に複数の会社へエントリーする事が多く、企業側も、提出された書類の確認や、面接の日程調整など、適性テストの開催や複数回の面接を行い、選考を進めていきます。

・内定解禁日

卒業年度の10月1日以降は、内定が解禁となる日です。その日以前は、内々定という形で出している企業も少なくありません。

内定の正式な決定後は、入社まで研修や勉強会などの内定者フォローが行われます。

新卒採用の期間とは

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新卒採用は、応募解禁日から入社までの期間を指します。具体的には、応募解禁日である卒業年度の前年度の3月1日から、入社日までの期間です。

応募解禁後は、就活生が企業から公開された情報を目にし、プレエントリーや就職説明会の問い合わせなどの採用活動がスタートします。

表立った採用期間は上記のとおりですが、採用活動がスタートする前の準備段階からすでに採用活動は始まっており、入社後も今後の採用者の動向に生かすため、採用者の成果について追っていく必要があります。

そのことを考えますと、採用期間は、入社日の2年ほど前から準備が必要と言えるでしょう。

2025年以前の新卒採用の傾向

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2025年の準備に入る前に、近年の状況からこれまでの傾向について見て行きましょう。

2021年までは、コロナ渦で、経済活動が停滞した影響により、新規採用を見合わせる企業もあり、採用率は停滞しました。

就職みらい研究所の就職プロセス調査(2023年卒)によりますと、卒業時の3月時点内定率は、どの年度でも差は少なく、95%近い大学生が内定を取得しています。

ただし、2021年5月半ば時点の内定率は約30%未満で、2022年の同時期より内定率が約10%少なく、2023年同時期と比較すると約15%も少ないです。

2021年に落ち込んだ採用率は、経済が復活した事に伴い、少しずつもとに戻り、2023年では、早い段階での内定を取得する学生が増加しています。

2024年卒も同様の傾向が続いており、2025年卒についても、しばらく同じような傾向が続くのではないかと考えられます。

2025年新卒採用の予想

これまでの新卒採用の推移を踏まえて、2025年における傾向を予想していきましょう。

早期化

新卒採用の傾向として、まず上げられるのが、採用活動の早期化です。先ほど新卒採用は、政府主導の就活ルールがあると述べました。

2023年11月現在の就活ルールの前身は、日本経団連が定めた就活ルールがもとになっており、2018年にこのルールは廃止になりました。ただし大きな混乱を避けるため、政府が主導となり、慣例に従って、ルールが継続しています。

ただし、ルールとして存在しているものの、公正な採用活動と、学生が学業に専念できる環境を守るための“要請”であり、法的な拘束や罰則がありません。

その影響か就職みらい研究所の就職プロセス調査結果(2024年卒)によりますと、内定率は、年々早期化している傾向が見られます。

特に、調査結果では、2022年~2024年卒の選考解禁日となる7月1日以前の内定率の上昇が顕著となっています。

4月1日時点の内定率は、2022年卒で28.1%、2023年卒で38.1%、2024年卒で48.5%、5月1日時点の内定率は、2022年卒で51.3%、2023年卒で58.4%、2024年卒で65.1%と言う結果ですが、7月以降の内定率に大きな差はありません。

上記の事から、内定率の早期化が進んでいる事と考察できます。

多様化

次に上げられるのが、多様化です。まずは、候補者集めの方法が多岐に渡ります。就活サイトやSNSを使った応募者集めをはじめ、企業側からオファーを出すスカウトや、社員がリクルータとなるリファラル採用、インターンシップがあります。

次に、選考方法も、以前は履歴書や適性テスト、対面での複数回の面接といった流れが一般的でした。

コロナ渦によるオンラインが普及した結果、会社説明会や面接もオンライン上で行われるようになるようになり、動画を使った自己紹介、面接中や面接時の録画でのチャットを利用した採用担当者同士の情報交換などが活用されるようになりました。

2025年新卒採用におけるポイント

新卒採用活動が、早期化および多様化となる中で、どのように準備していくのが良いのか、ポイントをまとめました。

・母集団形成の効率化

採用活動において、どのように候補者を集めるのは、とても重要な項目です。自社にマッチする人材を集められれば、その後も選考もスムーズに行え、効率化につながるためです。

そのためには、自社の現状についてしっかり確認しておきましょう。

専門性を求める職種では、ある程度学校の専攻も限られてくるため、早めに適性のある学生をスカウトやインターンシップなどで接触をする、認知度の低い企業の場合は、広く情報を公開するなど、求める職種に応じて、適正な母集団形成方法を見極める必要があります。

・選考の簡素化

新入社員の選考方法としてよく上げられるのが、書類選考、適性テスト、面接ではないでしょうか。

新卒採用活動は、多くの候補者の中から、長期的に自社にマッチする人材かを見極めるため、慎重に選考を行っていきたいところです。

ですが、候補者も複数の企業へ同時期に応募している事、採用に掛けられる人員が限られることから、選考方法も簡素化していかなければなりません。

例えば、複数回行っていた面接を、オンライン面接に変え、複数の担当者が面接内容を確認できるようにする、適性テストの外注化するなどが挙げられるでしょう。

・内定出しの早期化

売り手市場で、一人の候補者が複数の内定を取得するため、優秀な人材を獲得するために、内定を早めに出し、他社へ興味が移る前に研修や懇親会などの内定者フォローを行い、入社へ繋げていく事がポイントでしょう。

2025年新卒採用における準備と策定

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近年の新卒採用の傾向を踏まえ、2025年新卒採用について予想してまいりました。2025新卒採用を成功へ導くために、どのように準備していけば良いのか見て行きましょう。

採用期間の前段階として、前年度の振り返り、採用目標を定め求人媒体の決定、担当者の決定など準備が始まり、内定後も、内定辞退を防ぐために、内定者フォロー、入社後も採用者の成果についてデータや分析などが欠かせません。

リクルートの就活研究機関である就職みらい研究所の調査結果によりますと、大学生の新卒内定者のうち、約6割が2社以上の企業から内定を取っています。そのため内定者のうち約3割が内定後に辞退する結果となっており、さらに入社後3年以内の離職者は、約3割にものぼります。

内定辞退や早期退職は、採用活動のやり直しや再調整が必要となり、会社にとっては大きな負担となります。自社に適性のある人材を効率的に採用、長期的に勤務してもらえるよう、準備していきましょう。

準備

実際に新卒採用活動を行う期間は1年間ですが、準備期間を含めると入社日の2年ほど前からスタートとなります。

過去の採用実績の分析、事業計画を元にした採用人数、ターゲット決定および当年度の就活ルールの確認、具体的なスケジュール、インターシップやイベントなど母集団形成の準備となるでしょう。

・過去の採用成果を見直す

これまでの採用成果を分析していきます。採用イベントや就職説明会での集客力から見た候補者数、応募者の適性度、採用者のその後の業務実績などをデータ化し、分析していきます。

・事業計画を元に採用目標の明確化

事業計画を元に、採用人数やおおよその配置場所を検討していきます。定年退職者の補充や新規事業、強化を検討している部署など、採用人数や採用したい部署を検討していきます。

採用目標が定まらなければ、適性のある学生へ採用情報が届かずミスマッチの採用へとつながりかねません。

今後の事業計画を元に、採用目標を立てていきます。

・当年度の就活ルールの確認

就活ルールは、公正な採用活動と、学生の学業環境を守るために行われます。2018年にこれまで日本経団連が決めていたルールは廃止され、政府主導のルールになりました。ただしあくまでも“要請”であるため、近年は、解禁日前の採用情報公開や、内定出しを行う企業も見られます。

とはいえ、就活ルールをもとに採用活動を行っている企業も多いため、他社との動向を見る意味でも、当年度の就活ルールについては確認しておきましょう。

策定

・採用ターゲットを定める

採用目標が定まったら、採用ターゲットを定めていきます。採用ターゲットが集まりやすい募集方法を探り、募集方法を決定して来ましょう。

例:インターンシップ、会社説明会、SNS発信など

・採用スケジュールを立て本選考へと進む

母集団形成方法に合わせて、スケジュールを立てます。母集団形成方法を決め、担当者の決定、オンライン面接や紹介動画配信など、スケジュールを立てていきます。25年卒の新入社員の準備と同時に、24年卒の選考および内定出しを進めていきます。

  1. 2023年の春:採用成果の分析および採用計画の検討
  2. 2023年の4月~夏休み前:夏のインターンシップ準備~受付開始
  3. 2023年の夏休みにインターンシップ開始
  4. 2023年の秋~冬休み:冬のインターンシップ準備~受付開始や企業によっては、エントリー受付や採用情報の公開などがスタート
  5. 2023年冬:大学の学校推薦開始
  6. 2024年3月:応募解禁および7月以降本選考開始

まとめ

今回は、2025年新卒採用に向けた準備と策定へのステップについて、ご紹介してきました。2025年卒は、大きな就活ルールの変更の予定はないことが予想されています。

ただ、近年、内定の早期化や選考の多様化が進み、より厳しい採用競争が続くと思われます。

採用活動は、これまでの採用成果の分析と今後の事業計画をもとに、採用目標を立てる事からスタートします。

競合他社や経済の流れを読み、早めに準備しておく必要があるでしょう。

2025年新卒採用の準備に悩む企業は、この記事を読んで、参考にしてみて下さい。