新卒採用の採用基準とは?優秀な学生を見極めるための重視するべきポイントを徹底解説


採用基準とは、自社が求める人間性や能力を、公平に判断するための指標の事を言います。
新入社員は中途採用と違い、社会人経験の無い人がほとんどです。
そのため仕事に対する能力やスキルで判断できないため、明確な採用基準の設定が欠かせません。

今回は、新卒採用における採用基準をどのように設ければ良いのか、重要視すべきポイントなどについてご紹介していきます。

採用基準とは

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新卒採用を行う際、候補者となる学生を、書類審査や面接などで選考していきますが、限られた期間で、多数の候補者を絞っていかなければなりません。

加えて、面接官ごとや選考方法にバラツキがあっては、公平性が保てないことから、どのような人物を採用するのかという指標を表したのが、採用基準です。

新卒採用で採用基準を決める理由

新卒採用で、採用基準を決める3つの理由について、ご紹介します。

①人事部・現場・経営陣との間の齟齬をなくすため

採用した人が関わるのは、

  1. 採用業務を行う人事部
  2. 実際に採用した人が実際に働く現場
  3. 決定権を持つ経営陣

この3つでしょう。

自社に適切な人物するために定められる採用基準ですが、どのような人物が適切かを考えると、各部署でやや基準が異なります。

各部署とのズレがあるまま採用活動を行うと、採用する人物のミスマッチが起こり、採用活動の長期化や採用した人物が会社で活躍出来ない、または早期離職といった事が起こり、会社にとってマイナスになります。

採用後に実際に勤務する、現場の意見をしっかり取り入れることも重要ですが、現場で役立つ能力さえあれば良いと言う訳ではありません。

基本的な社会人としてのマナーや適性能力、志望動機や企業への理解度なども、企業の一員として重要なポイントですので、各部署とのすり合わせを行っておく必要があります。

②選考の公平性を保つため

選考には、複数の人が関わります。候補者の評価について、バラツキが多いと選考を行うのに時間が掛かる上、評価があいまいになってしまいます。

選考方法には、主に書類選考と面接がありますが、特に評価が難しいのが面接ではないでしょうか。

新入社員の面接は、平均で3回ほど行われます。
面接が難しい理由の一つに、面接官の心理的バイアスが上げられます。

面接官を複数配置する、面接官の研修を行うなどの対策を行う企業も多いですが、その他にも、面接官によって評価に大きなブレが無いよう、しっかりした基準を設けることで、選考が公平に行えることになります。

③早期離職を防ぐため

新入社員の選考は、半年から1年近く、長い期間を掛けて行われます。
募集広告や説明会など、工数や時間を掛けて行われますが、採用基準があいまいだと、自社にミスマッチの人材を採用してしまい、入社後に採用した人が能力を発揮できなかったり、他の社員のパフォーマンスにも影響を及ぼしたりするほか、早期離職につながってしまう可能性もあります。

研修や教育を行った新入社員が早期離職をしてしまうと、他の社員の負担が増えることや、再度採用活動が必要になるなど、会社にとっても大きな負担になります。

採用基準を改善すべき時

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採用基準は一回決めたらそれで終わりではなく、時代や状況に合わせて見直しや改善を行う必要があります。

また、法改正によっても、これまで問題なかった基準が、法に触れてしまうケースもあります。

採用基準を改善すべきケースについて、まとめました。

①新卒採用が定員に満たない時

企業が、事業を滞りなく進めていくには、一定の人数が必要なため、採用する人数や配置場所など、あらかじめ採用計画を立てて、採用活動を行っていきます。
ただし、会社の知名度や職種によっては、なかなか候補者が集まりにくいケースもあるでしょう。

卒業年度の1年前の夏くらいから、インターンシップの受け入れが始まり、エントリーの受付、書類選考や面接へと、半年から1年ほどの期間を掛けて進んでいくのが一般的です。

採用活動を行っていても、応募者が少ない、求める人材が来ない場合、求人活動に問題があることの他、採用基準のハードルが高すぎるのかもしれません。

求人活動を他の方法に変えてみるとともに、採用基準をやや緩やかにすることで、採用する人員を増やせる可能性があります。

②希望条件にマッチする候補者が集まらない時

近年採用活動のオンライン化や売り手市場により、学生の活発な就職活動が見られます。

2022年の就職みらい研究所の発表によりますと、大学4年生の7月1日時点で、2社以上の内定を取っている学生は6割を超えており、その分内定辞退率も多いのが現状です。

このように企業にとっては、優秀な学生の獲得が厳しい中、候補者が来ても、なかなか自社に合う人がいない場合、求人案内を出す場所や方法を変えるほか、採用基準についても、見直しが必要です。

③早期離職者が多い時

早期離職とは、採用後、数年で退職することを指しますが、大学生の新卒採用が3年以内に離職する割合は約3割と言われています。

希望する就職先だったが、入社してみたら自分とは合わなかった、プライベートの環境が変化したため、今の生活に合う職場で働きたいなど、働き手の理由により、離職者が早期離職場合もあるでしょう。

ただし、早期離職者が急に増えた、年々増え続けている場合などは、職場環境を見直すとともに、採用時の採用基準が、現場の求める人材とズレが生じている可能性もありますので、採用基準について、離職が増えている現場と共に、再度見直してみましょう。

④採用・選考ルールの禁止事項に触れる時

公正な選考が行われるよう、厚生労働省は採用に関するルールを定めています。
公正な選考の基準として、「応募者の適性や能力とは関係ない事柄で採用を否定しない」、「応募者の基本的人権を尊重すること」とされています。

採用時に次のような事を候補者に記載させる、面接時に質問する、実施することは就職差別につながるおそれがあり、注意が必要です。

・本人に責任のない事項の把握

出身地や家族に関する事、住宅に関する事、生活環境や家庭環境に関する事

・本来自由であるべき事項の把握

宗教や支持政党、人生観、尊敬する人物、労働組合や社会運動に関する事

・身辺調査の実施や不必要な健康診断の実施

また男女雇用機会均等法や障害者雇用促進法により、性別や障害を理由に、合否を決めることは禁止されていますので、禁止事項や配慮すべきことを行っていないか、定期的に見直しましょう。

このように、法律により、採用ルールが変わることもありますので、法改正にも注意が必要です。

新卒採用の採用基準で重要視するポイント

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続いて新卒採用を行う上で、重要視するポイントをご紹介します。

資格や成績など、比較しやすい項目だけではなく、人間性や基本的な処理能力など、他の社員との関係性や、力量などを総合的に判断できるよう、採用基準を明確にしていきましょう

採用基準で比較的重要視されるポイントについて、ご紹介してきます。

・コミュニケーション能力

経団連の調査によりますと、企業が新卒採用で求める能力として、10年以上「コミュニケーション能力」を上げています。

コミュニケーション能力とは、他人と意思疎通を上手く図る能力の事を指し、どのような職場でも、コミュニケーションを取る事は必要です。
チームで作業をする際、進行状況の確認や相談など、スムーズに業務を進めていくためには、適度なコミュニケーションが欠かせません。

特に、社外の人と接触する機会が多い営業や販売では、取引先や顧客との間で高いコミュニケーション能力が求められます。

主体性

主体性も、上記のコミュニケーション能力と同様、新卒採用で、重要視されているポイントの一つです。

主体性とは、自分の意思や判断に基づいて行動する態度や性質の事を指します。
つまり、自分がすべき事を見極め、自発的に行動・判断できること、自分の長所や弱みを把握し、厳しい状況であっても取り組める能力の事を言います。

世界市場が目まぐるしく変化してく中、上司の指示や意見を待つのではなく、自分で考え、判断し、自発的に行動する力が求められるようになってきました。

特にコロナ渦においては、働き方が大きく変化しました。
上司や同僚が常に近くにいて、いつでも相談や質問が出来る状況から、リモートワークへと変わり、同僚や上司への質問や相談する時間や方法も限られるため、自分で考え判断せざるを得ない状況が増えました。

このように、働き方が多様化する中、たとえ大きな変化や難しい状況下でも自分で考え、判断できる能力が求められています。

・チャレンジ精神

チャレンジ精神とは、新しいことに突き進む力、苦手なことや困難なことに立ち向かう力の事を言います。

市場は常に変化しており、競合他社との競争に勝ち続けていくためには、守りではなく、新しい事や困難な事に立ち向かう、チャレンジ精神が必要不可欠です。

企業としては、難しい事や新しい事にも恐れず挑戦するような、チャレンジ精神を持つ人材を求めています。

・協調性

会社は、組織やチームごとに分かれ、それぞれ担当業務を持っています。
自分の判断や方法について主体性を持つことや、チャレンジ精神も大切ですが、組織やチームで動いている以上、協調性も大切な要素です。

同僚や先輩、上司の言う事に耳を傾け、協力して物ごとをやり遂げられる力も、社会人として求められる重要なポイントになります。

・誠実性

誠実さとは、倫理や道徳を守り、物事に対し真面目に取り組む事を言います。
新入社員は、中途採用者と違い、スキルや能力がまだ身についていません。

しかし、これから先輩社員と業務を教わる中で、素直で真面目に取り組む姿勢があれば、信頼関係を築くことができ、双方にとってモチベーションが上がりやすく、より良い関係に繋がります。

・基本的な処理能力

人間性がどんなに良くても、会社で業務を行っていくには、ある程度の基本的な処理能力が求められます。

PCスキルやメール文やビジネスマナーなどの他、適性検査などの結果を元に判断します。

採用基準を明確する上での注意点

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採用基準を明確にする上での注意点をまとめました。

・成果を上げている社員の行動特性を参考にする

新入社員のミスマッチが多い、早期離職者が増えたと感じる場合、これまでのデータを分析し、成果を上げている社員の特性を参考にしてみましょう。

どの点が自社とマッチしているのか、どういう点が成果を出せるポイントになっているのか、採用基準を決める際に参考にしてみましょう。

・優先順位を決める

優秀な人材を求めるあまり、あれもこれもと採用基準を盛り込みすぎると、採用基準に合う人の幅が狭くなってしまい、採用活動が長期化してしまいます。

採用活動の目的を振り返り、どの点を優先するのか、順位をきめていきましょう。

まとめ

今回は、新卒採用の採用基準を決める際に、優秀な学生を見極めるためのポイントについてご紹介してきました。

採用基準を明確にすることは、採用の公平性を保ち、会社に合う人材の採用、早期離職の防止へと繋がります。

新卒採用の採用基準に悩んでいる企業は、この記事を参考にして下さい。