少子高齢化に伴う労働力不足への懸念から、人の採用を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。
働き方改革やコロナ渦ということもあいまって、リモートワークやサブスクなど、働き方に柔軟性が求められるようになりました。
そのため、求職者がより働きやすい環境を求め流動的になり、企業としては、優秀な人材をいかに確保できるか、が大きな課題となりつつあります。
今回は、リクルートダイレクトやAMBIなど、優秀な人材を確保するために、注目を集めている中途採用者向けのスカウトサービスの方法について、ご紹介いたします。
スカウトサービスとは
スカウトサービスとは、登録者の情報を元に、転職希望者へ企業や人材紹介サービス会社が、スカウトメッセージを送ることが出来るサービスです。
求人案内を出し、応募してきた人を採用する従来型の求人サービスとは反対に、企業が求職者に対し、アプローチする方法です。
自社の希望条件に合う人に直接アプローチ出来るので、候補者が来ることを待つことなく、候補者からの反応があれば、短期間で採用へ導くことが可能になります。
また登録者から見れば、今まで候補になかった企業からスカウトが来ることで、転職活動の視野が広がるメリットがあります。
各社さまざまなスカウトサービスを展開しており、料金体系やターゲット層などにバラツキがあり、自社の課題やコストなどを調べてから利用する必要があります。
スカウトサービスの種類
種類 | 料金体系 | 相場 |
・成功報酬型 | 内定が決定してから料金を支払う。 初期費用が掛かる場合がある。 | 年収の約15% |
・定額型 | 月額または年額で料金が決まるタイプ。 | 300万~400万/年 |
・従量課金型 | スカウトした量に応じて料金を支払う | メール1通に付1000円など |
スカウトサービスには、上記のように大きく分けて3つのタイプがあります。成果報酬制は、内定者が出ると費用が発生するので、少人数で、条件にマッチする人材を確実に採用したい場合に向いています。
定額型は、一定の期間内に一定の人数を採用したい場合に向いているでしょう。内定出来ない時期でも、料金が発生してしまうのがデメリットです。
従量課金型は、スカウトした量によって料金が発生するので、送信相手をしっかり定めて送るなら、定額型よりも料金を抑える事が出来ます。
スカウトサービスのメリット・デメリット
スカウトサービスのメリット、デメリットをまとめました。
メリット
・希望する人材に直接アプローチできる
企業が求める能力やスキルを持つ人材に、直接メッセージを送り、アピールすることが可能です。
スカウトサービスに登録している人の中には、積極的に転職活動を行いたいわけではないが、時期を見て自分に合う企業へ転職したいと考える転職潜在層も存在します。
スカウトサービスは、こうした転職潜在層にもアピールすることが出来るため、表の転職活動には出てこない優秀な人材や、より自社にマッチする人材に出会える可能性があります。
・採用までのプロセスを短縮できる
スカウト型の中途採用では、初めから候補者が絞れており、候補者のスキルや能力を見ているため、簡単な面接のみで内定が決まりやすく、採用までの流れを簡潔にすることが出来ます。
デメリット
・スカウトした人から返信が来ないことが多い
登録者の多い企業を利用している場合、実際にスカウトメールを送る相手を選ぶのも一苦労です。
さらに登録者の中から、条件を絞りスカウトメールを送っても、すべての相手からアクションがあるわけではありません。返信が来るのは平均10%ほどと言われています。
反応があれば、内定までの道のりは近道になりますが、スカウトする候補者選びや、実際に面接までへの道のりは長くなる場合もあります。
・内定までに他の料金が掛かる場合がある
スカウトサービスの料金設定には、大きく分けて3つの種類があることをご紹介しました。実際には各社細かい料金設定をしており、サービスを展開している会社やどのサービスを利用するかによって、大きく異なります。
どこまで基本料金に入っているのか、求める機能がオプション扱いしていないかなどをしっかり調べないと、支払いの段階で、思ったより高額になってしまったということになりかねません。
料金体系が、自社に合うかどうか導入前にしっかり調べましょう。
需要別スカウトサービスの紹介
需要別のスカウトサービスについてご紹介します。
スカウトサービスにはさまざまな特徴があり、自社の課題を見極め、需要に合ったサービスを利用しましょう。
・ハイスペック、業務系を求める企業
リクルートダイレクト
ハイクラス求職者向けの転職スカウトサービスで、リクルートが運営しています。年収750万円以上の登録者が約半数を占めており、業種別では、メーカーやIT関係および金融が多く、職種では営業職、管理職、経営などに強みがあります。
特徴としては、業界や企業に精通するヘッドハンターと共に、企業と転職希望者をつないでおり、業界大手リクルート社ならではの利点を生かし、質の高いスカウト活動を行っています。
スカウトの流れとしては、どのような人材が欲しいのかという細かい条件の打ち合わせを行い、リクルート社が登録者へスカウトメールを送信します。スカウトメールに返信の有った候補者と面接を行い、お互いの条件が合致すれば採用となります。
料金体系:成果報酬制、その他別途初期費用の可能性あり
・若手を求める企業
AMBI
2017年4月よりエン・ジャパンが運用をスタートさせている、若手向けハイキャリア中途採用者向け求人サイトです。
AMBIの特徴は何といっても登録者の平均年齢が約28歳という若さです。特に24歳~28歳の年齢層が厚く、若い転職希望者が利用しやすいよう工夫がされている点です。
また若いだけではなく、登録時に年収400万円以上という条件があります。国税庁の民間給与実態統計調査(令和元年度)では、20代の平均年収は、20代前半で264万円、20代後半で369万円となっており、登録時に平均年収以上の収入を得ている、すなわち、しっかりした企業に勤務している必要があることになります。
転職希望者だけでなく、企業側も最低年収400万以上の掲示をしなければならず、可能であれば500万以上が求められます。
スカウトとの流れとしては、他のスカウトサービス同様ですが、スカウトメールに返信があった登録者からの面談率が9割以上高く、面談につながりやすいといわれています。
また、登録者のログイン頻度など利用状況を見て、転職意欲の高さを判断し、転職希望意欲が高いと考えられる登録者を選び、スカウトの成功へとつなげています
料金体系:成功報酬制 スタンダードプラン 6か月60万円~(スカウトメール1500通)
・即戦力を求める企業
ビズリーチ
ビズリーチでは、1社ごとに専任のコンサルタントが付き、求人票の作成方法や面接の進め方など、採用に関することを各方面からサポートします。
登録者数170万人(2022年7月時点)で、年齢は20代~50代と幅広いデータベースの中から、自社にマッチする人材を探すことが出来ます。
特徴としては、登録者は、審査に合格した質の高い、転職意欲のある人材が多く、求人内容も高い年収が掲載されています。登録者に直接スカウトする方法で、中途採用希望者と即戦力を求める企業をつないでいます。
料金体系:基本使用料として6か月85万円~ スカウトメール400通まで 成約時に別途理論年収の15%
・IT、エンジニア人材を求める企業
paiza(パイザ)
中途採用のITやエンジニアとして、即戦力となる人材を求める企業向けの、スカウトサービスを展開しています。
独自のスキルチェックで、登録者の専門スキル度をSランク~Cランクに分けて、可視化できるようになっており、企業の要望に合わせてスカウトすることが出来ます。また専用のサポートチームが、選考をフォローしてくれるサービスがあります。
スカウトとの流れとしては、条件にマッチする登録者をpaizaサポートチームが選定し、スカウトメールを一斉配信します。反応があった登録者をリスト化します。企業は、リストの中から採用したいと思う候補者へスカウトします。
料金体系:成果報酬型 ランクにより25%~ 内定者が入社後に費用を支払う
・多様な人材を集めたい
doda Recrutiers
doda Recrutiersは日本最大級のスカウト登録会員数を誇り、範囲にこだわらずニーズに合った人材を採用したい、多種多様な人材を集めたい企業に向いています。
登録者の居住区や最終学歴などのプロフィールをはじめ、スキルや保有資格、職務経験や語学力といった職務経歴だけではなく、閲覧履歴や過去3か月の応募の有無など行動範囲まで条件を絞り、ユーザー検索することが可能です。
スカウトメールでは、企業のアピールポイントをアイコンで表示することが出来ます。また一緒に働くメンバーの紹介など、オリジナリティ溢れる機能も付いています。
その他、応募者管理や求人票作成など採用作業全般のサポート、採用支援サポートdoda Assist機能が無料で利用できる他、フォロー体制など、スカウトだけではなく、採用業務へのサポート機能も充実しています。
料金体系:定額料金制(8週間) ライトプラン(面接確約最大400通) 基本利用料80万円~
スカウトを成功させるためのポイント
スカウトを成功させるためのポイント2点をご紹介します。
・スカウトする目的をハッキリさせよう
スカウトサービスを行っている企業は多数あり、上記でご紹介したのはほんの一部で、企業ごとや利用するサービスごとに違いがあります。
スカウトは、自社が求める人材に直接アプローチでき、マッチする中途採用希望者を採用へ短期間でつなげてくれる方法ですが、料金が高額であること、費用が掛かるポイントにバラツキがあるため、導入前に、どのような目的で中途採用者を採用したいのかをハッキリさせることが重要です。
例えば、複数の人材を雇用しようとしているのに、スカウトメールの最大数が少ない、
専用コンサルトが付き、細かいサポートをしてくれる代わりに、成功報酬額が高額なサポートでは、予定人数を採用するまでに、多大な費用が掛かってしまいます。
自社の課題を見つけ、どんな目的で、どのような人材が欲しいのかをしっかりと見極めましょう。
・欲しい人材には何度かアプローチしてみよう
スカウトを送ったが返事が来ないというのは、珍しいことではありません。
特にハイスペックな中途採用希望者は、現職で働いている人も多い、スカウトメールが他社からも来ているなどの理由で、読んでもらえないこともあります。
そのような場合は、少し時間を置いてから、再度送ってみても良いでしょう。ただし、あまりしつこくなりすぎないように、注意が必要です。
まとめ
今回は、中途採用者向けのスカウトサービスについてご紹介してきました。
売り手市場が続き、人の流動が活発になり、企業が優秀な人材を確保するためには、スカウトという方法に注目が集まりつつあります。
スカウトサービスの利用には、メリットも多いですが、費用負担も考慮しなければなりません。
近年スカウトサービスにも多種多様な種類があり、料金体系もバラつきがあるので、自社の課題と向き合い、マッチするプランやサービスについてしっかりと調べてから利用しましょう。
中途採用のスカウトサービスについて、悩んでいる企業はこの記事を参考にしてみて下さい。