Z世代をいう言葉をご存じでしょうか。
Z世代の語源はアメリカで、世代を区別するために浸透してきた言葉であり、採用活動においても近年注目を集めています。
少子高齢化で売り手市場が続く中、Z世代はこれから就職年齢を迎える世代であり、Z世代の特徴や価値観についてしっかり理解し、採用につなげていかなければなりません。
今回は、Z世代が興味を持ち、働きたいと思われる企業づくりのポイントについてご紹介いたします。
Z世代とは
Z世代とは1995年頃~2010年頃に生まれた世代で、2023年現在、10代から20代半ばの就職開始に差し掛かってくる世代です。
生まれた世代別にアルファベットで表したもので、思考パターンの傾向や価値観の違いを表しており、X世代(1965年頃~1980年頃)、Y世代(1980年頃~1995年頃)と比較されます。
それでは、Z世代の特徴について、見て行きましょう。
Z世代の特徴
Z世代の特徴として、次のような点が挙げられます。
・デジタルネイティブ
Z世代は生まれた時から、インターネットやデジタル機器に囲まれた環境におり、ネットやデジタル機器の扱いに慣れています。
また、Z世代の一つ上の世代であるY世代も、同じようにデジタル機器を使いこなすデジタルネイティブ世代と呼ばれており、Z世代はさらに生まれた時から、日常的にスマホなどのデジタル機器に囲まれて生活しているため、真のデジタルネイティブやスマホネイティブなどと呼ばれています。
・ネットリテラシーが高い
ネットリテラシーとは、ネットの情報の正誤を判断する力だけではなく、セキュリティーの重要性や課金の有無を正しく理解し、情報の受信者、発信者として、正しくネットを使いこなせる能力を指します。
ネット世界の情報の伝わり方は非常にスピーディで、紙媒体の比ではありません。
また世界中とつながることができ、あらゆる情報を瞬時に知ることが可能です。
Z世代は幼いころから、ネットに触れ、多くの情報に囲まれて育ちました。
そのため他の世代に比べ、膨大な量の情報の中から必要な情報を読み取る力、正しい情報と間違った情報を見分ける能力が高い傾向があります。
こうした情報を読み取る力だけではなく、ネット上の無料で出来る範囲、課金が必要な内容をすばやく判断する事も得意とします。
例えばゲームの利用料金や時間の配慮、プライバシーの保護、情報セキュリティーの大切さなどをしっかり理解する能力に長けていると考えらえています。
ネットの世界では、情報を閲覧するだけではなく、情報や意見を掲載する発信者となる事もあるでしょう。
その際は肖像権や著作権などに注意しなければなりません。
Z世代では、発信者となる事にも抵抗が少なく、権利についても判断する能力が高い傾向があります。
このように、Z世代では、ネットに関する知識やリスクを理解し、生活の中で上手に使いこなしている世代と言えるでしょう。
・ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティとは多様性や一人一人の差異を意味し、インクルージョンは包括を意味します。
生まれた時から、ネット社会でさまざまな情報社会で育ってきたZ世代は、国籍や性別、学歴や人種など、個々の違いを受け入れる柔軟性を持ち、互いに認め合いながら、活動していくことを好みます。
・堅実で合理的
Z世代は、不安定な世界状況と目まぐるしく変化する価値観の中で育っており、買い物やレジャーなどの消費に対して、とても慎重です。
反面、自分が価値のあるものと判断したものには、惜しみなく金銭を投入する傾向が見られます。
何かを購入する際にも入念にネットで調べてから、本当に必要な物のみを購入し、無駄な出費をしません。
また、合理的で人とシェアすることに、あまり抵抗がありません。
・社会運動に意欲的
持続可能でより良い世界を目指そうとSDGsと呼ばれる国際目標が掲げられ、取り組みを行っている企業も多いでしょう。
最近では、学校の授業でもSDGsについて行われており、小さな頃から、環境問題や社会問題が身近な問題として、関心を持ちやすい環境になっています。
そのため、こうした問題に高い関心を持つ学生も多く、社会運動に意欲的な面があります。
採用活動におけるZ世代の傾向
これまでZ世代の特徴について見てきました。
それでは、採用活動においては、どのような傾向が見られるのか、見て行きましょう。
・安定志向が高い
現実主義で堅実なZ世帯は、採用活動の場において、安定志向が高いと言われています。
Z世代の幼少期は、日本経済が停滞したり、コロナ渦を経験したりして、価値観が大きく変化した時期でもあります
そのためリスクを回避し、安定した生活を好みます。
就職活動においても、安定志向が見られ、安定した収入や職場環境、職種などを選ぶと言われています。
・ワークライフバランスを好む
仕事だけではなく、プライベートの時間を大切にしようとういう動きは、近年よく見られ、働き方改革なども進みつつあります。
Z世代では、より自分の自由時間を大切にしたいという考えがあり、ライフワークに合わせて勤務時間の自由が利く企業や職業や、休みがとりやすい、働く場所や時間に捕らわれないリモートワーク可の会社を好みます。
・タイムパフォーマンスを大切にする
Z世代では、観たい動画を2倍速で見たり、聞きたい音楽のサビだけを聞いたりするというように、いかに時間を掛けず有意義な情報を引き出すかという、“タイムパフォーマンス”を重視しています。
小さな頃からデジタルツールを使いこなし、手早く自分が求める情報を集められる事に慣れているため、出来るだけ短時間で合理的に、必要とする情報を集める事を得意としています。
自分の時間を大切にしたいので、ダラダラ残業する事や業務外の付き合いなどを避ける傾向があります。
・スキルアップに励む
親世代の終身雇用の崩壊や世界経済の不況期も見てきている影響から、安定志向が高いながらも、自身の将来に備えて、キャリアップを目指す上昇傾向が見られます。
語学の勉強や資格を取得してスキルアップに励んだり、より自身の技術や能力を高めるため、転職をしたりすることにもあまり抵抗がありません。
Z世代が就活時に利用する採用情報収集方法
Z世代が就活時に利用する情報収集についてご紹介致します。
・SNS
小さな頃から、SNS機能を使い、オープンで幅広いコミュニケーションを経験してきています。
自分の意見を率直にSNSに書き込み、自分の意見を載せる事にも抵抗がありません。
同時に、他者の意見を受け入れる多様性も身についているため、SNSでのつながりをリアルな関係と同様重要視しています。
SNSは、情報拡散のスピードが速く、簡単に情報を掲載出来るため、会社情報の収集に利用する事と良いでしょう。
・学校の就活案内
ネットを使いこなすZ世代ですが、手始めに大学の就職課や求人案内も利用する学生も少なくありません。
卒業生が勤務している、高度な技術を要する職種などの場合、学生側も親近感を持ちやすく、特に卒業生が就職している学校は、企業の受け入れ対応が良好な場合もあります。
また、学生の中には、卒業後の就職に備え、就職を希望する会社にOGOBがいるため、その学校を選択している可能性もあるので、就活生に関心を持たれやすいでしょう。
・就活サイト
自分の希望条件を入力し、ヒットする条件の企業を選択し、応募できる就活サイトもZ世代の就活生に好まれています。
希望条件を入れ、勤務地や残業が少ない、リモート可など、条件にマッチする会社を選ぶことが出来ます。
マッチした会社の中から、優先度の高いものを探したり、口コミを読んだりして、社内の雰囲気や待遇などの情報を得ていきます。
求める条件を自由に選択できるので、自由度を求めるZ世代には適していると言えるでしょう。
・ダイレクトリクルーティング
ここ最近注目を集めているのが、ダイレクトリクルーティングです。
企業側が欲しいと思う人材をスカウトする手法です。
ダイレクトリクルーティングサイトに登録している会員の中から、条件に合う人材に企業側からメールを送り、就職説明会やイベントの情報を送ります。
ダイレクトリクルーティングは、攻めの採用方法と言われています。
少子高齢化で売り手市場が続く中、優秀な人材は他社からも人気があるため、競合他社へ興味が移る前に、積極的にアプローチし、自社の魅力を知って貰いましょう。
・Web
視覚的要素に興味を持ち、さらにタイムパフォーマンスを大切にするZ世帯は、テキストより映像や動画で直接的に訴えかける方が、印象に残りやすい傾向があります。
社内の様子を写した企業紹介動画や、社員紹介、ショート動画などを製作し、社内の様子を定期的に流していくと興味を持たれやすいでしょう。
こうした紹介動画を定期的に作成し、常に新鮮な情報を流し、就活生にアプローチしていきましょう。
・インターンシップ
インターンシップは学生が職場で勤務し、社内の雰囲気や業務を体験してもらい、マッチする人材や優秀な人材を採用へと繋げていく方法です。
インターンシップは、学生にとっても、入社前に職業体験出来る事から、貴重な機会です。
コロナ渦では、職業体験をオンラインで行う企業も多かったですが、コロナ渦が落ち着き、実際に学生が会社へ出向き、職業体験する状況へと変わっています。
2025年3月卒の学生から、一部の専門性の高い職種では、インターンシップに参加した学生の情報を直接選考や採用の情報として利用する事が可能になります。
そのため、実際の就職ルールより、前倒しで採用活動を行う企業も増えると事が予想されます。
Z世代が働きたいと感じるポイント
Z世代が働きたいと感じる会社のポイントについて、ご紹介します。
・勤務体系の自由度
自分の時間を大切にするZ世代は、リモート可やフレックスタイムなど、勤務時間や勤務場所が自由度の高い勤務体系が好まれます。
・オープンな情報開示
幼いころからネットで多くの情報を見て育ってきたため、理想論ではなく、正確な情報を求めています。
課題点も含め、オープンな情報開示する企業に誠実さを感じ興味を持ちます。
・ほどよいコミュニケーション
小さな頃からSNSを通じ、仲間と積極的にコミュニティを取ってきていたため、社内の人達とのほどよいコミュニケーションを望んでいます。
・キャリア形成が出来る
安定志向を持ちつつ、将来に備え上昇志向が高く、資格取得など常にスキルアップを望んでいるため、勤務する事で、キャリア形成できる企業を求めています。
まとめ
今回は、Z世代の特徴や価値観からみた採用戦略について、ご紹介してきました。
Z世代は、デジタルネイティブやタイムパフォーマンスを大切にする、多様性を受け入れるといった価値観を持っています。
また勤務先を探す際には、柔軟な働き方が出来る勤務体制とオープンなコミュニケーションを好み、スキルアップのため努力する姿勢もあります。
Z世代の採用に悩む企業は、今回の記事を読んで参考にしてみて下さい。