新卒に人気のある企業 選ばれる特徴や理由とは?


就職とは、一般的に学生が、卒業後に初めて職業に就くことを指します。就活生は、数多くの企業の中から、自分の希望する項目の中から優先順位を付け、自分の適性と照らし合わせ、活動を進めていきます。

少子高齢化が続き、売り手市場が続く中、学生たちは、企業に何を求め、どんな事を優先して就職活動を進めているのでしょうか。

今回は、数ある企業の中から、就活生に人気のある企業の特徴や選ばれる理由についてご紹介致します。

就活生が選ぶ項目

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就職先を決める際、就活生が優先する代表的な項目は以下の通りです。株式会社ディスコ学生モニター2025調査、マイナビ24冬就活学生調査を基にまとめました。

・賃金の高さ

正社員として採用されると、毎月決まった額の給与が支給され、さらにボーナスが支給される企業がほとんどでしょう。

厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査によりますと、大卒者の初任給の平均は228,500円(通勤費含む)、高専・短大卒202,300円、高卒181,200円でした。

賃金は、生活するために必要なものですので、少しで賃金の高さを希望するのは自然な事と考えらえます。

・成長が見込める

今後新入社員として、企業へ入社してくるのは、Z世代と呼ばれています。1990年代半ば~2010年代に誕生したZ世代は、就職した後も成長したい、キャリアアップしたいと考えています。

そのため、企業に入社後も、資格取得や新しい技術の習得、語学学習など、自分を成長出来る環境を求めています。

・福利厚生が充実している

賃金と同じく、福利厚生も生活していく上で重要な要素です。新入社員は、結婚や育児、住宅の購入など、今後さまざまなライフイベントが考えられるためです。

例えば住宅関連の手当、保養施設、自己啓発のため補助などがあれば、大きな出費に備える事が可能です。

福利厚生が充実していることで、従業員に働きやすい環境を提供でき、会社の宣伝にもつながります。

・休日が多い

新入社員や若手社員であるZ世代は、自分のプライベートな時間を重要視します。休日が多ければ、その分自分の時間が持てるため、休日が多い企業を好みます。

・離職率が低い

離職率が高いという事は、何らかの理由で若手社員にとって、長期的に働くのに適していない環境と捉えられます。

反対に、離職率が低いという事は、従業員にとって働きやすく、メリットが大きい環境と言えるでしょう。

・企業規模が大きい

企業規模が大きいと、安定性が見込め、福利厚生や賃金の面で手厚く事が予想されるため、人気があります。

厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査の結果によりますと、企業規模別の月額賃金内訳は次の通りです。

  • 大企業:348,300円 
  • 中企業:303,000円(大企業100に対しての割合88.3%)
  • 小企業:284,500円(大企業100に対しての割合82.4%)

一概に言えませんが、企業規模が大きければ、倒産などのリスクが小企業やベンチャー企業に比べ、少ないと考えられるため、就活生の優先順位が高い傾向があります。

・勤務地

勤務地が遠いと、それだけ通勤に時間を取られることになります。また毎日の事となると、長時間の通勤は体力的にも大変です。

自分の時間を大切にする新入社員や若手社員は、勤務地の利便性やリモートワーク可など、勤務地にもこだわりがあります。

就活生の働き方に対する考え

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就活生は、入社後どのような働き方を望んでいるのでしょうか。

キャリスタリサーチ 2025年卒Vol.4・ 2月1日時点の就職意識調査では、就活生の働き方に対する考え方を知るために、次のような指標を出し、文系理系、性別ごとに分け、就活生にリサーチ結果を公表しています。

一つの分野で専門性を高めたいか、幅広い業務を経験したいかという問いでは、専門性を高めたい割合が約4割、幅広い業務を経験したいが約6割という結果となりました。

性別でみますと、やや女性の方が幅広い分野での経験を望む傾向があり、文系理系別では、理系の方が専門性を高めたい傾向が強い事が分かりました。

次に、キャリアパスを自分が主導権を持ちたいという考えは、性別や学部関係なく8割近い学生が持ち、仕事に対して、目標達成を強く持っている学生が多いという事が伺えます。

また転勤をしたい・したくないという問いには、したくないと言う回答が8割近くに上り、同じ場所に留まりたいという傾向が伺えました。

次に、出世より自分のペースで仕事したいという考えが、6割近くあり、安定性を好み、仕事より自分の時間を大切にしたいという印象が見られました。

総合的に見てみますと、キャリアップしたい、向上したいというスタンスを持ちつつ、ワークライクバランスをしたい、あまり環境を変える事には消極的な特徴が見られました。

では、実際には、どのような企業が就活生に人気なのか、ランキングを見て行きましょう。

就活生に人気のある企業

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キャリスタ就活が発表した2024年卒の人気企業ランキングです。

1位 損害保険ジャパン
2位 三菱UFJ銀行
3位 東京海上日動火災保険
4位 みずほフィナンシャルグループ
5位 三井住友銀行
6位 伊藤忠商事
7位 三井住友海上火災保険
8位 NTTデータ
9位 Sky株式会社
10位 日本生命保険

(参考:キャリスタ就活 2024年卒 就職希望企業ランキング)

傾向

ランキング1位~10位のうち、6社が金融関連業という結果で、金融関連企業の人気の高さが伺えます。

また、通信情報関連企業もNTTデータとSky株式会社の2社がランクインしており、上昇傾向です。

その他、ランク外ですが、コロナ渦が就職し、観光サービスが再開されたことにより、日本航空や、全日空運輸も活発化しています。

新入社員から選ばれやすくするには

ランキング上位に選ばれている企業は、いずれも大企業ですが、企業規模は一つの目安に過ぎません。

中小企業であっても、離職率が低く安定性の企業は数多く存在します。

とはいえ、大企業や人気企業は知名度がある分、第一候補となりやすい傾向があります。では、中小企業や現在ランキング順位が低い企業は、どのようにしたら良いのか、見て行きましょう。対策を以下のようにまとめました。

ホワイト企業認定を取る

企業を一定の基準ごとに評価し、新卒で入社したい、家族におすすめし、次世代に残したい企業として、基準を満たした企業を“ホワイト企業”と呼び、注目を集めています。

ホワイト企業は、国や法律において、明確な定義はありません。
各団体や組織が独自の視点で、調査・分析をし、公表しています。

企業規模が大きいから、ホワイト企業に認定されるわけではありません。
ホワイト認定調査は、従業員数や離職率、平均残業時間や育児・介護取得率、賃金や教育制度、さらには人事面だけではなく、IRなどを基に、経営状況も含め総合的に判断します。

ホワイト認定を取得すれば、企業の宣伝となり、新入社員や求職者が入社したい企業として選ばれる可能性が高くなります。

新入社員に選ばれる企業を目指したい企業は、こうした認定調査を行っている企業へ認定依頼をしてみるのも一つの手でしょう。

ここでは、ホワイト財団とホワイト企業総合基準研究所について、ご紹介いたします。
ホワイト財団とホワイト企業総合研究所は、それぞれ基準を設け、各企業の中から認定をしています。

・ホワイト財団

正式名称は一般財団法人日本次世代企業普及機構で、7つの指標を基に、企業について総合的に評価し、基準に満たした企業をホワイト認定として、評価しています。

ホワイト認定で掲げる7つの指標は以下の通りです。

  1. ビジネスモデル/生産性
  2. ダイバーシティ&インクルージョン
  3. 柔軟な働き方
  4. 健康経営
  5. 人材育成/働きがい
  6. リスクマネジメント
  7. 労働法順守

(参考:ホワイト財団)

7つの項目を総合的に評価することで、長期的に健全な経営が続けられる優れたビジネスを持ち、安心して働くことが出来る社内統治、エンゲージメントを高く保つ企業として判断されています。

・ホワイト企業総合研究所

株式会社Avalon Consultingが運営する研究所です。調査、分析を基に、総合的に企業の評価や格付けを行っています。厚労省の統計情報や各企業のIR情報などと基に、毎年ホワイト企業をランキング形式で公表しています。

ホワイト企業2025年卒業版 1位~10位

1位:グーグル合同会社(IT)
2位:Facebook Japan合同会社(IT)
3位:マイクロソフトディベロップメント株式会社(IT)
4位:AT&T ジャパン株式会社(IT)
5位:アマゾン ウェブサービス ジャパン合同会社(IT)
6位:ヴイエムウェア株式会社(IT)
7位:株式会社ISS リアライズ(商社)
8位:FSネットワークスジャパン合同会社(IT)
9位一般財団法人電力中央研究所(官公庁/社団)
10位:株式会社ライズ・コンサルディンググループ(コンサルティング)

(参考:ホワイト企業総合研究所 2025年卒版 新卒で入りたい一流ホワイト企業ランキングTOP100【ホワイト企業総合研究所調べ】)

上記調査を基に、ホワイトアカデミー(ホワイト企業総合研究所と同運営会社)では、次のように分析をしています。

・全体として、コロナ共存の影響により、業界ごとの順位変動が大きい傾向
・1位、2位、3位は、GAFAMと呼ばれる大手IT業界が占めており、ホワイト企業のランキング全体でもIT業界が多く占めている
・半導体の躍進が見られた
・運航業界もインパウンドの影響でランクインが増えた

インターンシップや企業研修に力を入れる

インターンシップや企業研究の内容次第で、就活生の応募先企業が、変わることがあります。優先順位は低かったが、インターシップに参加してみたら、内容が充実しており、入社してみたい気持ちが強くなった、反対に自分の希望とは違っていたので、希望から外したという場合があるでしょう。

インターンシップの内容を見直したり、導入していない企業は、導入を検討したりすることで、新入社員から受け入れられる可能性が高まります。

国からの認定や選定を取得する

求人サイトや就職サイトには、国からの認定や、選定を受けたことを表示するシステムがあるサイトもあります。

こうしたマークは働きやすさの目安となるため、取得すると就活生に好印象を与える事になります。

認定・選定には以下のような物があります。

・くるみんマーク

子育てサポート対策を行い、一定の基準を満たした企業に対し、厚生労働省から認定が受けられる制度です。

次世代育成支援対策促進法をもとに、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、目標を達し、基準を満たした企業が申請を行う事により、くるみん認定を受ける事が出来ます。

くるみん認定を受ける事で、妊娠や育児に対しサポート体制が整っている企業という事を社会的にアピールする事が出来ます。

健康経営優良法人認定制度 

(大規模法人部門「ホワイト500」、中規模法人部門「ブライト500」)

健康経営優良法人認定制度とは、経済産業省が認定している制度で、健康経営に尽力する企業を「見える化」することで、評価する事を目的としています。

地域の健康課題に対してや、従業員の健康維持や増進のための取り組みを行い、従業員の健康管理を経営的な視点で行っている企業として、社会的に評価されます。

大規模企業を対象とした“ホワイト500”と、中小規模を対象とした“ブライト500”があります。

まとめ

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今回は、新卒に人気のある企業、選ばれやすい企業について、ご紹介してきました。

就活生は、安定性の高さや福利厚生面の他に、キャリアップ制度の有無、自分の時間を大切にした働き方を望む傾向があることが分かりました。

こうした学生に対し、ホワイト企業認定や国の認定制度などを導入することで、優良企業として認知度を上げることで、就活生たちの目に留まりやすくなります。

新卒採用に悩む企業は、この記事を読んで、参考にしてみて下さい。