採用戦略成功のポイントとは?

企業が存続していくためには、設備や資金などと共に、優秀な人材の確保が欠かせません。日本人口が減り、少子高齢化が進む中、人材の獲得のため、採用競争は激しさを増しています。

激しい採用戦略を勝ち抜き、自社にマッチする優秀な人材を採用へ導くためには、確実な採用戦略が必要です。

今回は、激しくなる採用競争を成功へと導く、採用戦略のポイントや事例についてご紹介致します。

採用戦略が必要な理由

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各企業で採用戦略が必要となった背景には、次の点が考えられます。

・少子高齢化による労働力不足

会社としては、企業を存続させていくには、自社に適性のある人材が必要です。しかし、日本人口は減少傾向にあり、特にこれから働き手となる15歳未満の人口減少率は他の年齢よりも高く、今後も労働人口の減少が見込まれます。

労働人口が減っているということは、他社との競争になりやすくなり、企業によっては、これまで新卒採用で賄えていた人員が、定員に満たなくなる可能性が予想されるのです。

そのため優秀な人材が他社へ関心を向ける前に、接点を持っておく必要があり、各社ではさまざまな方法で、求職者や転職潜在層と接点を持てるよう、戦略を練る必要が出てきます。

また新卒採用を行っていても、3年以内に約3割が退職するというデータもあり、人の流動が激しくなっているため、採用後も働きやすい環境づくりが欠かせなくなっています。

・働く環境の多様化

労働人口が減少傾向にあり、確保が難しくなってくると、これまで育児や傷病、介護などによって、退職せざるを得なくなっていた人を減らそうという動きが出て。柔軟な働き方が出来るよう、時短勤務等の法改正が進んできました。

さらに労働力不足による長時間労働も問題になり、働き方改革が進み、加えてコロナ渦による出勤自粛の動きから、リモートワークが急速に普及し始めました。

働き方改革が進んだことや、ワークライフバランスを大切にするZ世代では、働き方の多様性が大切にさせる考え方が浸透し、労働者が働きやすい環境を整え、より柔軟な働き方が出来る職場環境が好まれるように変化してきました。

企業が、優秀な人材を採用し、長期的に在籍してもらうには、働く環境の整備を行う事も、戦略の一つと言えるでしょう。

採用戦略成功のポイントとは

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採用を成功させるには、他社の内容を真似るのではなく、自社オリジナルの戦略を立てなければなりません。採用戦略を立てる際には、次のポイントに注意してみて下さい。

・今後の事業展開や方針などを定める

企業として存続していくためには、事業を継続および発展させていく必要があります。

世界状況や自社の経営状況に応じて、新事業を始めるのか既存の事業を充実させるのか、その他廃止する事業など、将来に備え、事業展開や方針を定めなければなりません。

今後の事業方針が定まったら、その後は計画達成のため目標を立て、スケジュールや必要人数などを定めて行きます。

計画達成のために、専門スキルを持つ従業員が不足しているのであれば新たに補充するなど、事業計画に応じて、必要なスキルや人数などの定め、採用目標へと繋げていきます。

・関係部署と連携を図る

事業計画や方針が定まったのち、各関係部署へと連携を図り、必要な能力や人数など、採用計画を具体化してきます。

実際に従業員が作業するのは現場ですので、現場の責任者と求めるスキルや人物像、配置場所などを確認しておくのは、大切なポイントでしょう。

ただし、企業の一員として採用するには、現場が求めるスキルだけでは物足りません。

企業理念や風土への理解が乏しかったり、基本的なビジネスマナーが見についていなかったりすれば、企業の一員としてふさわしくないでしょう。

現場で求められるスキルや人物像と共に、基本的なビジネスマナーや企業理念への理解度がしっかり備わっているかも、大切な要素の一つです。

・自社の状況把握と採用方法を定める

採用したい人物像や人数などがある程度定まったら、自社の状況を把握しておきましょう。これまでの採用方法で、採用者は十分に成果が出ていますでしょうか。

新卒の場合は、これまで採用した従業員の出身校や学部を確認し、転職者の場合は、求人サイトや転職エージェントなどを基に採用した人物の成果を見て判断していきます。

入社後の成績や活躍具合をデータ化し、分析を行い、採用方法が適切であったか判断してきます。

・母集団形成方法を検討する

採用の効率化は、母集団形成方法に掛かっていると言っても、過言ではありません。いかに自社にマッチする候補者を集められるかで、その後の選考工程の仕方も大きく変わってくるからです。

そのためには、自社を客観的にみて判断しなければなりません。例えば認知度の低い企業であれば、求人サイトやイベント等で、求職者へ広くアピールする必要がありますし、認知度が高ければ、リファラル採用やスカウトなど、的を絞り候補者を集めた方が、選考の手間が省けて効率的でしょう。

募集する職種や会社規模などに応じ、どのように母集団を形成すれば良いかしっかりと検討してきましょう。

・面接内容を見直す

面接とは、候補者と企業が相互理解を深める場所です。従来の面接方法では、対面で面接官が数人いて、候補者に決められた質問を行い、その内容を見て合否を決定するのが定番でした。

近年はオンライン面接やカジュアル面接など、堅苦しい面接ではなく、気軽に候補者と対面できる場として、面接を簡素化やカジュアル化する動きも見られます。

面接の垣根を低くし、候補者と繋がりやすくする事で、候補者本来の姿を見えやすくしたり、オンラインで録画した面接内容を複数の面接官が閲覧し、短期間で多角的は選考を行ったりするといった取り組みも行われています。

・選考方法を検討する

候補者の選考方法は、合否を決定する大切な内容です。ところが、選考方法が複雑すぎると、合否決定に時間が掛かっていまい、候補者が他社へと興味が移ってしまったり、辞退してしまったりということに繋がりかねません。

また、選考方法が自社に適していないと、マッチする人材を不採用にしてしまう事やミスマッチの人材を採用してしまい、思うような成果が出せない結果となってしまいます。

自社に適性のある人材を見つけ、採用へ繋げるには、的確に早急に採用決定ができるよう選考方法を検討しましょう。

採用戦略に成功している企業4選

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続いて、実際に採用戦略に成功している企業5選をご紹介致します。

・トヨタ自動車

世界最大の自動車メーカーの一つであるトヨタ自動車は、7万人以上の従業員を抱えており、連結従業員を含めると30万人を超えます。(2023年3月現在 トヨタ自動車㏋より)。

多くの従業員を抱える同社は、各部署で専門的でその部署のスタイルに適性のある従業員を採用できるよう、現場主導での採用方法を取り入れています。

また業務内容や企業理念を理解する授業員がリクルーターとなり、スキルや適性を持つ知人を紹介するリファラル採用を導入しています。

その他にも、広報や自社ブログなど複数のメディアを通じ、企業情報や社内環境、トップ理念などを適宜発信しています。

・面白法人カヤック

広告やゲーム開発・運用、イベント企画などを行っている企業です。新卒を通年採用しており、学歴や時期を問わず、採用活動を行っています。

中途採用では、企画やデザイナー、エンジニアなど採用をしています。ユニークな採用方法を導入しており、ゲームの上手さを評価し、内定を決める“いちゲー採用”、履歴書不要で、検索結果がそのままエントリーシートとなっている“エゴサーチ”、デザイナー志望の100人の就活生に2万円を支給する“ポートフォリオ奨学金”制度など、オリジナリティあふれる採用方法を導入し、注目を集めています。

・株式会社TBM

新素材LIMIXや再生素材CirculeX素材の開発など、資源循環事業や再生事業などを展開している企業です。

同社では、社内向けの採用マニュアルを整備し、内定率9割という高い確率につなげる事に成功しました。具体的には次の通りなります。

①バラツキの有った評価基準や質問項目の統一、②公平性の高い選考基準、③面接内容の向上や作業工程のスキルアップ

以上の内容を見直しおよび改善を行うことで、内定率の向上へとつなげました。

・株式会社アンドバッド

クラウド型建築プロジェクト管理サービスを提供している企業です。現場の効率化や経営改善を一元管理できるシステムを展開しています。

データの収集分析を行い、経営戦略や売上、人事など多岐渡り活用し、社内外のコミュニケーションなどを行い、リファラル採用など、求職活動の内製化を行い、会社の実態に適した採用活動を行うことで成功へと繋げました。

採用戦略を成功させるための注意点

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採用戦略を行うにあたっては、次の点に注意しましょう。

・採用目標の明確化

どのような人物を何人採用し、どこに配置するのか、採用目標をしっかり定めなければ、その後の採用活動の流れが、曖昧になるだけではなく、会社が求める人材とミスマッチが起こりやすくなります。

成績やスキルだけではなく、人間性や性格なども重要な要素です。同じスキルを持っていても、チームでの作業を好む人、個人での活動を得意とする人、まじめでコツコツする作業を得意とする人、明るく社交的な性格など、企業風土や社内環境なども、自社の条件に合っているかもしっかり確認しておきましょう。

・内定決定の迅速化

適性度や優秀さを判断するために、選考にある程度時間を要する事もあるでしょう。ただし、優秀な人材は、自社だけではなく、複数の企業へ応募している可能性も忘れてはいけません。

志望度が高い求職者であっても、あまりにも選考に時間を掛けていると、不信感や不安を持ち、他社へ興味が移ってしまう可能性があります。

採用目標をしっかり定めるとともに、内定基準についても採用に関わる関係者が、共通の認識を持つように、まとめておきましょう。

・内定者フォローを怠らない

内定者が出たら、内定の案内を出してそのままになってはいないでしょうか。内定者は、新しい環境の様子や、会社への適性度など、入社日まで不安な日々を過ごしています。

内定が出たら、入社日までメールや手紙、電話などを通じて、定期的にフォローを入れ、内定者を歓迎している事が伝わるようにし、不安や悩みをいつでも解消できる体制にしておきましょう。

まとめ

今回は、採用戦略が必要となった背景や、成功させるポイント、成功事例などをご紹介してきました。

少子化や働き方の多様化により、人の採用は厳しさを増していますが、会社存続は発展には、適正のある人材の採用が何より欠かせません。

採用戦略に悩む企業は、この記事を読んで参考にしてみて下さい。