通年採用と一括採用の違いとは?それぞれの違いやメリット・デメリットはどこにある?


日本における新卒採用では、学生の卒業時期に合わせ、企業が一斉に採用活動を行う、一括採用が主流になっていました。

ところが、近年社会のグローバル化の影響や少子化により、一括採用にこだわらず、年間を通じて採用活動を行う通年採用を導入する企業も増えてきました。

今回は、一括採用と通年採用の違い、メリット・デメリットなどをご紹介致します。

通年採用とは

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通年採用とは、年間を通して採用活動を行う事を言います。

決められた採用ルールに乗っ取り、学生の卒業時期に合わせ、4月に一斉に入社する“一括採用”に対し、通年採用は、時期を問わず採用する方法として、新卒採用の場で使われます。

一括採用は、広報解禁日や内定日など、政府が定めたルールに基づき、企業が採用活動を一斉に進めていきますが、通年採用では、時期ではなく、各企業が欠員や新規事業などの理由で、状況に応じて、採用活動を行います。

通年採用が注目されるようになった背景

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新卒採用と言えば一括採用が主流だった流れに対し、通年採用が注目されるようになった背景には、次のような点が上げられます。

・採用競争の激化

日本の人口は少子高齢化が進み、労働人口の減少が問題となっています。総務省㏋人口推計表(2023年2月報)で発表された、2022年9月1日時点の15歳未満の人口は、前年同月と比べて1.9%減少し、総人口の約4倍もの減少率となっています。

つまり、今後も労働人口が減少するため、必然的に優秀な人材を獲得すべく、各社で採用競争が激しくなることが予想されます。

これまでのように、一斉に採用活動を行い、新卒採用を行っていては、必要な人材が確保出来ず、業務に支障が出る可能性があります。

必要な人材を確保するためには、採用時期に捕らわれない方法を取り入れていく事が不可欠になってきました。

・グローバル人材や第二新卒者の確保

自社にマッチする人材が、一括採用の時期に、必ずしも就活が出来る状態とは限りません。例えば海外の学校卒業者や部活の大会の出場者、専門的な資格取得のための勉強中のなど、何らかの理由で、応募に間に合わなかった人達もいるでしょう。

世界経済のグローバル化に伴い、企業としても、世界市場を視野に入れた対策が必要になってきました。今後の世界進出を考えた際、外国人留学生や海外での生活経験がある人は、グローバル化を目指す企業にとっては、活躍が期待できる人材でしょう。

ところが、こうした学生を採用したくても、一括採用の場で獲得するのは難しい理由があります。それは、海外の大学では、卒業年度が日本の大学と同じ3月とは限らないため、採用時期が限定される一括採用では、応募のタイミングが合わないといった点です。

また、部活の大会や海外留学のため、就活が間に合わず、卒業後に就職先が決まっていない人や、新卒で入社後、早い段階で転職を考えている第二新卒者もいます。

上記のように、一括採用では難しい人材も、通年採用であれば、採用に繋がりやすいことから、通年採用に興味を示す企業が増えています。

・経団連と大学が通年採用に合意

2019年4月に経団連と大学側が協議を行い、採用の場でも多様性が必要ということで、通年採用の拡大について、正式に合意がされました。そのため、企業が通年採用を導入しやすい状況になりました。

これまで就活のルールは、経団連の指針の元に行われていましたが、2021年度卒より政府主導へと変わった事も関係しているでしょう。

政府は、2022年入社については、従来どおりとしており、通年採用の導入する企業は、2023年より増加が見込まれます。

通年採用の目的

通年採用の大きな目的は、必要な人材を必要な時に採用することと、幅広いタイプの学生を採用することです。少子化やグローバル化の影響を受け、採用を取り巻く環境は、変化を遂げています。

世界市場の競争で生き残るためには、めまぐるしく変化する社会に対応できる人材の獲得が欠かせません。

しかし、応募や選考時期が決まっている一括採用では、採用活動に制約があり、状況に応じた採用活動は困難です。また売り手市場で、人気企業や大企業に応募者が集中しやすく、その他の企業は人手不足な状況に陥りやすい、二極化が起こりやすくなります。

働き方が多様化する中で、転職など人の流動も活発になっています。その中で会社の将来のために、フレッシュで優秀な人材をいつでも獲得できるよう、通年採用は今後も増えていくと考えられます。

通年採用・一括採用のメリット・デメリット

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一括採用と比較した通年採用の内容や、導入する企業が増えてきた背景や目的について、ご紹介してきました。

通年採用を導入する企業が増えたとはいえ、一括採用はまだまだ新卒採用の主流となっており、一括採用ならではのメリットもあります。

それでは、通年採用と一括採用のメリット・デメリットについて、ご紹介していきます。

通年採用のメリット・デメリット

通年採用のメリット・デメリットを、企業側と応募者側から見ていきましょう。

・企業側のメリット

何といっても、必要な時に希望する職種や人材、人数を決めて募集を掛ける事が出来る点です。また、一括採用では出会えない海外大学の卒業者や留学生など、グローバルな人材に出会える可能性があることや、資格取得や海外留学経験、部活の大会へに出場など、意欲のある人材へとアプローチ出来ることが大きなメリットでしょう。

その他のメリットとして、競合他社が採用活動をしていない時期に採用活動を行う事が出来る事や、候補者が限られるため、候補者一人一人じっくりと向き合い、採用者を選択することが出来ます。

また内定辞退者や早期退職者が出ても、再び採用活動を行い、補充することが可能です。

・求職者のメリット

一括採用が間に合わなかった企業にも応募が出来る点、じっくりとエントリーできる点が求職者のメリットです。

また、企業側のメリット同様、他の候補者が少ない分、しっかりと企業が向き合える可能性が高いでしょう。

・企業側のデメリット

デメリットとして上げられるのは、工数と費用が掛かる点です。求人広告を出すには、費用が掛かりますし、選考や面接などを行うには、その都度、会社説明会や面接場所の設定や日程調整業務が必要です。

採用時期が決まっている場合、専任の採用担当グループを置き、年間スケジュールに沿ってある程度の人員や時間を掛けて、活動を行う事が可能です。

しかし、通年採用の場合、必要な時期に応じて採用活動を行うため、中小企業では、専任の担当者を置くことが難しく、通常業務と兼任する必要があり、担当者の負担が増える可能性があります。

・求職者のデメリット

通年採用では、対象者が社会人経験のある第二新卒者まで、幅広い枠で募集を掛けている事があります。そのため、社会人経験の無い新卒者から見ると、採用のハードルが高く感じるかもしれません。

また、一括採用の時期には、多くの企業のエントリー時期や企業情報などが、一斉に入りやすい傾向がありますが、通年採用では、一社一社自分で調べていく必要があります。

一括採用のメリット・デメリット

続いて一括採用のメリット・デメリットです。日本の新卒採用で長く行われてきた方法で、通年採用と一括採用の両方を取り入れている企業も多いです。

・企業側のメリット

一括採用は、一定のルールに基づき活動を行ってきます。通常、卒業年度直前の3月1日の広報解禁日からスタートし、エントリーの受付、6月1日より面接などの選考開始、10月1日の内定という流れとなっています。

実際には、広報解禁日前に、卒業年度の前年度の夏ごろより、インターンシップなどを行い、学生と接点を持つ企業もあるでしょう。

一括採用のメリットは、スケジュールに沿った活動で、計画が立てやすい事、多くの学生から応募が来るため、その中から自社にマッチする人材を選ぶことが出来る点です。

・求職者のメリット

エントリーの時期には、多くの学生が情報を求めるため、企業情報が手に入りやすい事、企業側も受け入れ態勢が整っている事です。

複数の企業へエントリー出来るので、活動を通じて自分に合った企業へ応募する事が可能になります。

通年採用の導入する時のポイント

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これまで一括採用しか行っていなかった企業が、通年採用を導入する場合、いくつかのポイントがあります。

以下のポイントを押さえて行っていきましょう。

・採用活動のゴールを決める

一括採用の場合、政府が定めたルールがあり、必然的にそのルールに沿って行っていきますが、通年採用の場合、自社で独自に計画を立てて進めていきます。

そのため、採用する人物像や求める能力、必要とする部署や人数など、目標や計画をしっかり立て、この採用活動で目指すゴールを定めます。

・現場、人事、経営者で採用ターゲットをまとめる

採用活動を行うのは人事部ですが、採用した人が勤務するのは現場です。また、決定権を持つ経営者の意見も大切です。

一口に会社が求める人物といっても、現場、人事、経営者の間で同じ意見とは限りません。社内での意見が一致していなければ、候補者が来ても、選考に時間が掛かり、採用活動が長期化してしまいます。

採用活動開始前に、ターゲットを定めておきましょう。

・採用方法や体制を整えておく

採用するターゲットやゴールが定まったら、具体的に採用方法を定め、体制を整えていきましょう。

求人はどのように行うのか、採用部署や担当者の選定、日程や配属場所、教育方法やフォローなど、実際に採用活動を行ってから慌てないように、しっかりと体制を整えておく必要があります。

通年採用している企業例

通年採用を導入している企業例について、ご紹介します。

・株式会社ファーストリテイリング

株式会社ファーストリテイリングは、ユニクロやGUなどのファッションブランドで有名な企業ですが、同社では、大きく分けて、地域店舗で勤務する地域社員と、店長や管理職候補であるグローバルリーダーとに分かれています。

グローバルリーダー候補職は、一年中いつでも応募を受け付けており、学年、新卒、中途、国籍を問わないオープンな採用方法で、自由に応募できる仕組みになっています。不合格になっても、年度が変われば再チャレンジが可能です。

・ソフトバンク

ソフトバンクでは、2015年よりユニバーサル採用と導入しています。挑戦したい方には門戸を開き、募集対象は、新卒・既卒を問わず、一度就業した人でも、再度挑戦できる仕組みになっています。

選考方法もユニークで、№1採用やインターンシップなど、バラエティーに富んだ選考プログラムがあり、自分に合う方法でアピールが可能になっています。

まとめ

今回は、通年採用が増えてきた背景や目的とともに、一括採用との違いやメリット・デメリットについてご紹介してきました。

採用競争の激化やグローバル化が進む中、採用方法も、柔軟で効率的な方法が求められるようになりました。

就活ルールの主導が経団連から政府へ移行したことにより、通年採用を導入する企業は、今後増加が見込まれます。

通年採用と一括採用は、どちらもそれぞれメリット・デメリットがあり、それを把握しつつ運用していく事が大切です。

通年採用に興味を持つ企業は、この記事を読んで参考にしてみて下さい。