母集団形成を成功させるには?採用活動プロセスの効率化を目指そう!

母集団形成とは、「自社に入社を希望する採用候補者の集まり」を指します。

時間と費用を掛けて採用活動を行っても、思うように人が集まらない、欲しい人材が応募者の中にいないなど、悩みを抱える採用担当者は少なくありません。

採用活動を成功させるには、採用候補者である母集団を、どのように形成するのかがカギになります。

今回は、採用活動を成功に導く母集団形成の方法やポイントについて、ご紹介致します。

採用活動における母集団形成とは

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母集団とは、もともと統計学で使われる言葉で、同じ特徴を持つ集まりのことを指し、採用活動における母集団とは、自社に興味を持ち、働くことを希望する集団という事になります。

要するに、母集団形成は自社で就労を希望する候補者を集める行為を指します。

では、候補者は誰でも良いという訳ではなく、業務内容をきちんと理解し、企業で共に働くパートナーの一員として、求められる自分の役割をしっかりと果たす人でなければなりません。

労働力減少が続く中、自社に合い定着する人材を探すには、まず無駄を省いた母集団形成方法が重要になってきます。

母集団形成が重要になった背景

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なぜ母集団形成が採用活動において重要なのでしょうか。その背景について見てみましょう。

①少子高齢化による労働力減少

日本では以前から少子高齢化が問題となっています。総務省では人口推移データを発表していますが、毎年右肩下がりで減少し続けています。

2021年11月1日の総人口は、前年同月より0.53%減少していますが、注目すべき点は年齢別の減少率です。

統計データを詳しく見てみますと15歳未満が1.68%減、15歳以上64歳が0.79減で、反対に65歳以上の人口が0.5%増加しています。

15歳未満の減少率が、総人口の減少率の約3倍で、65歳以上の人口は増えており、この傾向は2020年、2019年でも同様※です。

子供の数が減少し、高齢者が増える少子高齢化が進んでいることを表しています。

国は、育児のため退職した女性や定年引上げなどで、労働力不足解消に向けて対策をしていますが、今後も労働力不足がしばらく続くことが考えられるでしょう。

【参考】
※2020年11月1日総人口データ:
前年同月より0.23%減、15歳未満1.21%減、15歳以上65歳未満0.81%減、65歳以上0.83%増。
2019年11月1日総人口データ:
前年同月より0.39%減、15歳未満1.34%減、15歳以上65歳未満0.53%減、65歳以上0.88%増。

②採用活動が多様化し効率化が必要

以前は新卒で入社した企業に定年まで勤務する「終身雇用制度」が主流でしたが、近年は新卒で入社した社員のうち3人に1人が転職する時代です。

そのため、人の流動が激しくなっており、欲しい人材を確保するためには、いろいろな方法を行う必要になり、採用活動も多様化してきました。

特に人材が不足しがちな中小企業では、採用活動に掛けられる費用も時間も限られるため、効率よく採用活動を行うには、ポイントを押さえた母集団形成をすることが大切になってきました。

母集団形成が上手くいくポイント

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それでは、上手に母集団形成できるポイントを5つご紹介致します。

①採用計画を練る

採用活動をどのように行って行くのか計画を立てます。採用時期から逆算して候補者をどの方法で、いつまでに集めるのか、担当者を誰にするのかを考えます。

②希望する人材をハッキリさせる

候補者は多ければ良いというものでありません。広い範囲に求人を知らせる方法は多くの候補者が集まりますが、人数が多くても希望する母集団が形成されなければ意味がありません。また候補者が集まり過ぎても選考に時間が掛かってしまいます。

特に即戦力を求めるため、中途採用者を募集する企業も増えており、採用者を短期間で絞らなければなりません。

効率的に作業を行うためには、求人を出した業務内容や求める人物像、資格や経験の有無など、希望する人物像を詳しくハッキリと掲載し、自社が求める母集団形成となるようにしましょう。

③自社に合う戦略を立てる

近年は、採用方法にもトレンドがあり、新事業や時代の流れにより、採用方法も変化しています。

流行り方法、他社で上手くいった方法が自社でも合っているとは限りません。企業ごと、または募集職種によっても、効果的な方法は異なります。

例えばSNSを使った求人方法では、SNS利用率の高い若年層は集めやすいですが、中高年以上の求人募集には向かないでしょう。

つづいて、慢性的な人材不足で高いニーズがあるIT企業では、どのような母集団形成方法が向いているでしょうか。

IT業界は新技術が次々に現れるため、高い技術と専門的な能力を持つ即戦力が求められます。

IT関連の技術職は、細かな分野に分かれており、一般の転職サイトで手広く募集してしまうと、同じIT関連でも分野違いや専門外の人から応募が来てしまう可能性があります。

専門的な即戦力を求めるのではあれば、技術職専門の転職サイトへ掲載する、社員の知人を紹介するリファラル採用など行うなど、状況に合った方法で人を探すことで、より自社に合う人材を探す事が可能になります。

また、定期的に応募を行っている場合は、応募者の集まり具合や希望する人材と応募してきた人とのマッチ度を見て、求人方法と応募者との間にズレが生じてきていないか、時期を見てチェックを行いましょう。

④市場の動向や同業他社との比較化を図る

採用方法は日々変化を遂げています。質の良い人材を他社より早く採用へと導かなければなりません。

自社の業界の市場の動きは人材ニーズの高い業種でしょうか。また立地条件などは同業他社と比べてどうでしょうか。

市場は波があるので、活気のある業界でも新しい業界が生まれれば、衰退していく可能性もありますし、今低迷している業界が活気を帯びてくることもあるでしょう。

自社が市場で人気のある業界であれば、人は集まりやすいですし、反対であれば、求人を行う際ある程度広い範囲と時間を掛けて行わなければなければ、マッチする人材を集めるのは難しいでしょう。

また、企業規模はどうでしょうか。

中小企業は、大企業と比べ認知度が低いため、求人サイトへ掲載してもなかなか質の高い人材を集めることは難しいかもしれません。

そのため、求人サイトやエージェントに掲載し、広く認知してもらう、または企業から転職希望者へスカウトし、興味を持ってもらうなど、積極的に人材を獲得する必要があるでしょう。

その他に同業他社で採用活動が上手くいっている企業があれば、リサーチを行う事も一つのアイデアです。

他社に有って自社に無い物、採用者がなぜ他社を選んだのかをしっかり分析することで、自社が取り入れやすい採用方法を検討してみましょう。

⑤定期的に見直す

市場の動きに合わせて採用状況も日々変化を遂げています。今まで上手くいっていた採用方法でも、状況の変化により方向転嫁をしなければならないケースもあります。

例えば小売店で言えば、近くに大規模なスーパーが出来た、隣の駅の開発が進んでいるなどで、パートやアルバイトの人が集まりにくくなるという場合があります。

その場合は、求人をスーパー内に張り出すだけではなく、地域の求人広告へ掲載する、ハローワークへ登録するなど、求人方法を市場の動きに合わせて、定期的に見直す必要があることを覚えておきましょう。

母集団形成方法6選のメリットデメリットをご紹介

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自社にマッチする母集団形成を行うための7つの方法と、各方法のメリットデメリッとをご紹介致します。

 ①転職エージェント

メリット :担当のスタッフが付き、条件に合う応募者を絞ってくれる
デメリット:担当者の質に左右される。

転職エージェントとは、初期は無料で利用でき、担当のサポートスタッフが付いて、会員の中から、希望する条件に合う人材をピックアップして紹介してくれるサービスです。

令和2年度現在で2万6千件(※)ほどの事業所数があり、大きく分けて総合エージェントと、専門の業種のみ扱う特化型エージェントに分けられます。

(※厚生労働省HP 令和2年度職業紹介事業報告書の集計結果より)

総合型エージェントは事務業務や営業業務をはじめ、医療やITなどの専門分野を含めた、多種多様な職業を紹介するエージェントで、特化型エージェントは、医療分野、WEB・IT分野というように、特定の職種のみを紹介しています。

条件に合わない応募者はエージェント側で振るい落としをしてくれるので、実際にエージェントから紹介されるのは希望条件に近い候補者ばかりとなり、条件に見合う母集団が形成できることになります。

ただし、担当者を通しての紹介となるので、担当者の能力や知識に左右されてしまう事、エージェント利用者から採用者が出た場合、成功報酬などの費用が発生することを覚えておきましょう。

 ②転職サイト

メリット :企業も求職者も気軽に登録でき、大きな母集団を形成できる。 
デメリット:条件に合わない母集団が形成されてしまうこともある。

転職サイトとは、企業が求人情報をサイトへ掲載し、求職者は、勤務地や職種、年収などの条件を選択しながら、条件に合う企業を探し、自分で応募するサービスを提供しています。

転職エージェントとサイトの違いは、エージェントは専用の担当者が付き、企業と応募者との仲介するサポートが受けられますが、サイトは求職者が条件に合う企業を探し、自分で応募する必要があります。

転職サイトは、ほとんどのサイトが無料で利用でき、気軽に登録し利用が可能です。閲覧者が気に入れば即応募となるため、マッチする応募者が来れば、スピーディに採用者が決まります。

デメリットとしては、サイトを見て応募してきた人の中から候補者を選択するため、条件に合わない人から応募が来る可能性があり、選考に時間と労力が掛かる可能性もあります。

 ③ダイレクトリクルーティング

メリット :転職潜在層も母集団形成に含められる可能性がある。 
デメリット:採用活動の業務負担が増えるほか、活動が長期化する可能性がある。

企業から求職者へ働きかけ、採用へと導く方法です。ダイレクトリクルーティングへ登録している人の情報から、自社にマッチする人を選んでスカウトメールを送り、採用へとつなげていきます。

ダイレクトリクルーティングは、企業側から求職者へアピールするのがポイントで、積極的に転職活動を行っている人だけではなく、いずれ転職したいが積極的には転職活動を行っていないという、転職潜在層にも自社をアプローチすることが可能です。

その他のメリットとして、転職エージェントなどの人材紹介業と比べ、費用を低く抑えられる点が挙げられます。

デメリットとしては、多くの人へスカウトメールを送る必要があること、スカウトメールの文面作成や送付対象者の選択やリスト作り、その後の面接日の日程調整など、採用活動の業務負担が増える点です。

また、スカウトメールを送っても、相手とタイミングが合わない場合もありますので、潜在転職層と定期的に交流を持ち、長いスパンで活動を行う事を考慮しなければなりません。

 ④自社サイト

メリット :応募から入社までのすべて自社で行うので費用負担がない 
デメリット:信用に関わるので詳細な部分までしっかりと定期的な見直しが必要

自社ホームページを利用した採用方法です。ホームページで事業内容や社風、求める人物像を掲載し、興味を持った人に、自社サイトの採用ページから応募してもらう方法です。

求人から採用に至るまでの作業すべて自社で行うため、手数料や広告料などの費用負担は掛かりません。

ただし、自社サイトの内容と入社後の条件に相違があるとトラブルに繋がりやすくなることや、社員の士気低下の原因となる可能性もありますので、サイトの定期的な見直しが必要になってきます。

 ⑤リファラル採用

メリット :紹介者の人間性、企業の内情など双方を知る社員からの紹介で安心。 
デメリット:紹介した社員が募集業務内容や企業の内情を正しく理解している必要がある。

自社社員から、友人や知人の紹介を通じて採用する方法です。

社員から紹介者へ、企業の理念や希望する人物像などをあらかじめ伝えることが出来るため、企業を理解した人が候補者となること、紹介者側から見ても、入社時にすでに知っている社員がいて安心感があること、企業理念や社風が分かった上で入社出来るというメリットがあります。

対して、紹介した社員が募集職種の現場や企業理念などを正しく理解していないと、紹介者が入社後にズレを感じて、退職してしまうといったリスクもあります。

 ⑥SNS採用

メリット :若年層を中心に手軽にアプローチできる 。
デメリット:情報発信をこまめに行う必要がある。

20代世代では、9割近い人がTwitterやインスタグラムなどのSNSを利用していると言われており、若い世代を中心に、SNSで情報収集を行う人が増加傾向にあります。

SNSの最大のメリットは手軽さと拡散性です。例えばTwitterでは、リツイートやいいねといった機能により、フォロアー以外の方への企業をアプローチ出来ますし、Facebookでは

ターゲット層への公告機能や求人掲載機能があります。

気軽に誰でも利用できる分、幅広い母集団が形成されるリスクがあるため、コンテンツ作成時にターゲット層ハッキリさせてから運用させる必要があること、その他にも情報が埋もれてしまう可能性があるため、こまめな発信が必要であることが難点です。

まとめ

今回は、採用活動を成功させるための、効率的な母集団の形成方法についてご紹介してきました。

少子高齢化に加え、市場の動きに合わせ必要な人材も日々変化しており、質が高く求める能力を持つ人材を確保するためには、採用方法も多様化してきました。

さまざまな採用方法がある中で、自社にとって効率的な採用活動を行うためには、いかに希望に合った母集団を形成するかに掛かっています。

この記事を参考に、自社に合った母集団形成の方法を検討してみてください。


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