採用オウンドメディアと採用サイトは何が違う?適切な使い分けや運用のコツとは?


採用方法は、ここ20年で大きく変わってきました。
現在でも進化しており、採用方法の多様化をしっかりキャッチアップできなければ、良い人材を獲得することが出来なくなるため、従来ある採用の方法とプラス、採用オウンドメディアと採用サイトをうまく使いこなして、良い人材を獲得することが大切です。

まず初めに、採用オウンドメディアと採用サイトについての違いについて説明します。

「採用オウンドメディア」とは

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採用オウンドメディア(owned media)」とは、企業の風土や文化を伝えることが目的です。
採用に関する自社メディアという位置づけは採用サイトと同じですが、社風や理念、働く社員の雰囲気「共感マッチング」に効果を発揮します。
比較的はコンテンツの自由に作成していけるため、時期を問わず頻繁な更新が可能です。

企業によっては週1回更新、2~3日ごとの更新など、短期スパンで情報を更新しています。
常に最新情報を発信することができることが採用オウンドメディアの大きな魅力のひとつです。

「採用サイト」とは

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事業内容や募集要項を伝えることを目的として運用されている採用に関する自社メディアのことを言います。
求人に関する情報が明確に掲載されており、企業が求める人材要件と求職者が求める採用要件との「条件のマッチング」に効果的といえます。

内容や目的が求人募集に限定されているだけに一度構築すると頻繁な更新をしないのが一般的。
採用サイトの全面リニューアルは、2~3年に一度とされています。

採用オウンドメディア、採用サイトともに人材採用を目的としたものでありながら、このように両者には大きな差があるのです。

「採用オウンドメディア」の導入をする前に

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企業の採用活動を効率化するために、採用オウンドメディアの導入がおすすめです。
採用オウンドメディアでは、採用のミスマッチを防ぐ以外にも採用コストを削減できます。
採用オウンドメディアの運用は簡単ではありませんが、しっかりと運用できれば多くのメリットがあります。

しかし、採用オウンドメディアの運用には、さまざまな事前準備やノウハウが必要です。
採用のオウンドメディアを始めたいと考えているものの「何から始めれば良いか分からない」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

これまで、企業は求人サイトや求人情報などを活用して、求職者を募集することがほとんどでした。
しかし、こうした求人メディアには、記載できる内容や文字数に制限があるため、企業の魅力を思うようにアピールできないことが難点でした。
採用オウンドメディアは、ウェブサイトの設計やデザインの段階から自社で行うため、求職者へ向けて自由に情報を発信できます。
そのため、自社の企業文化や業務内容を正確に伝えやすく、ミスマッチを減らして自社に最適な人材を採用することが可能です。
採用オウンドメディアを活用すれば、優秀な人材を効率的に獲得できるようになります。
社員の生の声をリアルタイムに掲載できます。

採用オウンドメディアは求人情報そのものではなく、企業の情報を積極的に発信して、潜在候補者からの認知度を高めるために運用します。
読者に提供する情報としては、企業が提供する商品やサービスの開発秘話や、現場で働く社員へのインタビューなどです。

自社の採用サイトとの連携、つまり求職者と採用サイトの橋渡しをするのが採用オウンドメディアの役割です。

採用オウンドメディアが普及した背景

採用オウンドメディアの普及には、下記のような背景が考えられます。

少子高齢化による売り手市場化

少子高齢化による若い世代の減少で、採用は売り手市場となっています。
優秀な人材を確保したいのであれば、自社の情報を積極的に発信し働きやすい環境や充実できる仕事内容を継続的にアピールする必要があるのです。

ワークライフバランス、リモートワーク、働き方の多様化・複雑化

近年は働き方改革や感染症拡大の影響で、働き方も多様化・複雑化しています。働き方の環境変化に迅速に対応できているかどうかは、多くの人が働く企業としての意識の高さと適応力が現れます。
オウンドメディアであれば、このような課題に対する取り組みも素早く発信できます。

スマホとソーシャルメディアが普及し採用情報収集方法の多様化

スマホやSNSが当たり前の世代は、ウェブマガジンや動画サイトなどとの親和性が高いとされています。
求人雑誌や旧来のマスメディアで情報発信をするより、求職者が情報収集を行いやすいメディアを使うことが重要です。

採用オウンドメディアを使うことの6つのメリット

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費用を抑えた母集団形成と採用ができる

採用オウンドメディアを運用すれば、低コストで企業の採用を行うことができます。採用オウンドメディアでの活動のコストは、求人メディアより安くなります。従来の採用活動では、求人メディアに出稿する必要があったため、求人情報の掲載に多額の費用がかかりました。
これは採用コストの増大につながるため、中小企業では企業の経営を圧迫しかねません。

サイト構築やコンテンツ制作など、一定の費用はかかるのは事実です。
しかし、長期的に運用を続けると、メディア自体の情報伝達力や費用対効果が改善します。
長い目で見た場合では、従来の求人メディアと比べてはるかに有利な条件で、より多くの求職者を採用できるでしょう。

採用のミスマッチを減らせる

「採用のミスマッチ」は、企業にとって大きな問題です。
せっかく採用した社員が短期間で辞めると、人員を補充するためのコストや工数が余分にかかります。
採用のミスマッチを減らすことは、採用コストの削減だけではなく、優秀な人材を獲得できる体制の構築にも役立ちます。

従来の求人メディアでは、掲載できる内容や文字数などの制限により、企業の情報を十分に伝えられないことがありました。
他社の情報も大量に同時に掲載されるため、自社の情報が埋没して目立たないというデメリットもあります。一方で採用オウンドメディアでは、自社の理念や社風、社内環境や業務内容などについて自由に発信できるでしょう。
そのため、自社とマッチする人材を呼び込みやすくなり、ミスマッチを減らせます。

「早期離職率」は、大企業より中小企業の方が多いことが知られています。
したがって、採用オウンドメディアは、大企業はもちろん中小企業においても、採用活動の効率化に大きな効果があるといえるでしょう。

自社の認知度向上やブランディング力アップ

採用オウンドメディアを導入すると、企業の認知度向上やブランディングなど企業のイメージを高める効果が得られます。
既存のメディアでは表現しきれなかった、企業のリアルな情報を自由な形式で伝えられるからです。

たとえば、企業の製品やサービスの開発エピソードや担当者の想いなどを掲載すると採用ブランディングに効果的です。
企業の理念やカルチャーに共感できる求職者は、「応募したい」という意欲が高まり、自社で活躍できる人材を獲得しやすくなります。
また求職者が「この会社で働いてみたい」「この会社であれば自分も活躍できるかもしれない」とイメージすることができます。

魅力を伝えられる

より良い労働環境や、自身の能力を発揮できる職場を求めて、転職も今や普通です。
生産年齢人口の減少にともなって有効求人倍率が上昇し、求職者が就職先を選びやすくなったことも背景です。

つまり、良質な人材を多く獲得するためには、「求職者から選ばれる」企業になることが重要になります。
自社の魅力を十分に伝えることができれば、求職者が「この会社で働きたい」と思えるようになります。

転職予備軍(顕在層)にもアプローチできる

採用オウンドメディアは、現時点では就職活動をしていない「潜在候補者」に対しても、効果が高い施策です。
企業が「待ち」の姿勢で求職者のエントリーを待つのでは、最低限の人材確保も危うくなります。

自社とマッチする優秀な求職者を採用するためには、人材獲得のチャネルは多いに越したことはありません。
採用オウンドメディアは、インターネット検索でたどりついた幅広い層に自社の存在をアピールできるため、潜在候補者へのアプローチも可能です。
採用オウンドメディアで読者に対する情報発信を続ければ、読者と継続的な接触を図ることができ、業界における自社のイメージが強くなります。
その結果、潜在候補者がいざ就職活動を始めたときに、まず自社を想起させてエントリーへ誘導しやすく。

インナーブランディングにもつながる

採用オウンドメディアは、「インナーブランディング」にも効果的です。インナーブランディングとは、社内ではなく社外に対して行うブランディングを指します。
企業を内部から変革し、企業価値を高めるための施策です。

採用オウンドメディアのコンテンツは、企業の製品開発やインタビュー、業務内容の照会などが基本です。
こうしたコンテンツを制作するためには、チームのメンバーが自社の製品をしっかり理解して、意識を共有しておく必要があります。

自社の理念や文化についても紹介するため、自社の理想的な姿について、社員全体に改めて周知することが可能です。

採用オウンドメディアの4つの注意点

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成果が出るまでに時間がかかる

採用オウンドメディアの流入経路は基本的に検索エンジンであり、検索結果で上位表示されるまでに数か月以上は必要です。

作業工数や少なからず費用がかかる

従来の求人メディアは、出稿費用を支払いさえすれば、短期間でそれなりの効果を得られます。
その費用は掛かりませんが、採用オウンドメディアは初期段階では宣伝効果がまったくないため、立ち上げ初期の段階では誰からも見てもらえないことも考えられます。

継続して運用する必要がある

基本的には、採用オウンドメディアの成果は、掲載するコンテンツの数に比例するところがあるでしょう。
そのため、立ち上げしてからしばらくの期間は、ひたすらコンテンツを増やすための作業が必要です。運用初期をいかに乗り切るかが、採用オウンドメディア成功のためのカギでしょう。運用を続ける過程で、求める効果を達成できているか調べるために、効果測定や分析を行い、施策を改善することも欠かせません。
また、採用オウンドメディアはまだ認知度の低い施策なので、実行のための合意を社内で得られるかどうかも問題です。

採用オウンドメディアコンテンツは、蓄積され資産化していきます。
タグなどをつけて検索しやすくしておくことで、過去記事であっても求職者へのアピールに使えます。

マーケティング知識がある社員に協力を仰ぐ必要がある

社内に採用オウンドメディアのノウハウがなければ、制作や運用を専門業者に依頼する必要があります。
求職者へアピールできる記事や動画を上手く作れない場合も、制作会社へ発注しないといけません。これらの外注費も、採用オウンドメディア運用のコストとなります。

社内で対応できますが、コンテンツ制作には作業工数がかかります。
記事の企画や構成、社員へのインタビューやコンテンツの品質管理があげられます。

マーケティング分野だけではなく、魅力的なコンテンツを制作できる人材がいるかどうかも、採用オウンドメディアの成功には重要です。
さまざまな分野での知識が求められることが、採用オウンドメディア運用において大きなハードルになるといえます。

まとめ

これまで、企業の採用活動と言えば新卒一括採用のような、一年の特定の期間だけ採用活動を行うことが一般的でした。
しかし、終身雇用制度の終焉により雇用に流動性が生まれ、現在では中途採用のような「通年採用」もめずらしくないものです。

通年採用を行うためには、企業が常に採用活動を行っている必要があります。
しかし、求人メディアへの出稿を続けると、コストが増大しすぎることが難点です。
採用オウンドメディアなら、求職者に向けた情報を低コストで発信し続けられます。
継続的な情報発信により、求職者との接点を作り出せるチャンスも増えます。
さらに自社の魅力や実績、理念や文化などの発信により、エントリーしてくる求職者も自社とのマッチングがあう可能性が高いです。
より良質な人材を獲得できる体制を構築しやすくなるのです。