Z世代の新卒採用 採用担当者が知っておきたい特徴や価値観と相互理解を深めるための採用のポイント


世代を表す言葉にX世代、Y世代、Z世代などがあります。
その中でも、これからの時代を築いていく、10代後半から20代半ばの人たちはZ世代と呼ばれており、これからの新卒採用に深く関わる世代です。

売り手市場が続く中、Z世代には、どのような特徴や価値観を持ち、就職先を探す際に何を基準にして企業を選んでいるのか、自社に見合う学生を採用へと導くにはどうすればよいのか、必要なポイントについてご紹介してきます。

Z世代とは

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Z世代には、はっきりとした定義はありませんが、主にアメリカやカナダ、英国圏および日本において、概ね1990年代半ばから2010年の始め頃に誕生した、10代後半から20代半ばの世代の事をさします。(2022年の時点)

生まれた時から、インターネットが普及しており、いわゆるデジタルネイティブ世代とも呼ばれています。
パソコンよりもスマホに慣れ親しみ、SNSを使いこなして情報収集やコミュニケーションを取っています。

物心ついた時から、ネット環境に慣れ親しんだZ世代は、あらゆるツールを使いこなし、高い情報収集力や発言力、自分の能力を高め自らの力で生きて生きたいと考える自立心の高さ、多様な価値観を持っています。

Z世代に見られる特徴

Z世代は、小さな頃からネットから得られる多くの情報に触れてきたことから、次のような特徴があります。

Z世代の採用を考える際には、参考にしてみてください。

・情報収集力や発信力が高い

幼いころからスマホを持ち、ネットに親しんでいるため、自分の知りたい情報を調べる方方法に長けています。
情報収集をテレビや新聞、雑誌などの媒体から情報を得ることは少なく、マルチなメディアを利用し、多方面から情報収集を行います。

また、TwitterやInstagram、YouTubeやLINEなど、さまざまなSNSを通じ、枠にとらわれないコミュニケーションを取る傾向が見られます。

情報収集だけではなく、SNSを通じ、自分の意見を発信することにも積極的で、コミュニティの中で高い発信力を持ち、同時に承認欲求が高いことも特徴の一つです。

・自立心が高い

Z世代は小さな頃から、ネット上にあふれるたくさんの情報を見聞きする中で、人から与えられた情報ではなく、さまざまな角度から、自ら進んでリアルな情報を探したいという自立心が高い傾向があります。

某生命保険会社のアンケート調査で、小学生男子の将来なりたい職業にYouTuberの名前が出てきたことが一時話題になりました。

自分で情報を獲得し、知り得た情報や経験を発信し、広告収入を得るなど、自分の考えを発信する事にも意欲的で、SNSを使って情報を拡散したり、自らおすすめの商品を紹介するインフルエンサーとして活躍したりする人も増え、またそうした生き方に憧れを持つ人もいます。

・多様な価値観

新聞やテレビなど一部のメディア情報を見聞きしてきた上の世代と違い、ネット上でマルチの情報を見ることで、価値観が多様化しているものZ世代の特徴です。

多くの情報の中で育ち、SNSツールを通しコミュニティを取る中で、型に当てはまらず、自分と異なる世界や考えを受け入れる、柔軟でバラエティーに富んだ価値観を持っています。

X世代やY世代との違い

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デジタルネイティブなZ世代より上の世代は、X世代やY世代と呼ばれています。

もともと世代ごとに、X・Y・Zとアルファベットを着けて呼ぶようになった経緯は、第二次世界大戦後に世界的な写真家が、フォトエッセイのタイトル「Generation X」が由来です。

その後、カナダ小説家の著書「ジェネレーションX~加速された文化のための物語」が大ヒットし、タイトルが急速に知られるようになりました。

X世代とは、各国による違いや諸説ありますが、おおむね1960年~1970年代(2022年現在で40代前半~60代代)、Y世代は1980年~1990年代半ば(20代前半~40代前半)に分かれています。

X世代は、日本では、バブル世代や団塊ジュニア世代、就職氷河期などと呼ばれることも多く、大人になってから、パソコンや携帯電話などのデジタル機器が急速に普及し、アナログ世代からデジタル世代へと変化を遂げた世代です。
パソコンが普及する前は、情報はテレビや新聞などのメディアから得ていました。

Y世代は、西暦を1000年単位で表す“ミレニアム”世代とも言われ、2000年以降に成人した世代です。

幼少期からパソコンや携帯電話が普及し始めた、デジタルパイオニア世代でもあり、今ではIT技術発展の中心となっています。

Z世代と、X世代の大きな違いは、情報収集の仕方や自立心の高さです。テレビや新聞など一方的なメディアしか情報収集方法が無かったX世代に比べ、Z世代はネットを通じ、膨大な情報の中から、情報を読み取る事に慣れています。

また、X世代は、個人の価値観を大切にするZ世代に比べ、他人と調和を大切にするのもX世代の特徴です。

Y世代は、X世代と比較すると、幼少期よりネットに触れる機会があった事から、デジタルに強く、情報収集力に長けており、自己表現が強い面と保守的な傾向があると言われています。

Z世代が企業選びで大切にしていること

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これまで、Z世代の価値観や特徴などをご紹介してきました。
これから新卒採用としてZ世代を迎える企業では、採用活動を行って行く上で、Z世代が就職活動時にどのような基準で企業を選ぶかを見てきましょう。

① ワークライフバランス

長時間労働によるメンタル不調や過労死などによる問題から、仕事とプライベートとバランス良く保つワークライフバランスという言葉が叫ばれていますが、Z世代では、よりプライベートを重視する傾向があります。

X世代がお金・物・車など形ある“モノ”に価値を見出していたのに対し、生まれた時から“モノ”や情報が溢れているZ世代では、リアルな経験や交流、娯楽など目に見えない事に価値を見出しており、あくせく働かずに、趣味や娯楽、仲間との交流などの時間を大切にしたいと考えています。

② 自由度の高さ

会社に雇用されるという形にとらわれず、自分のスキルを活かし自由に働く、好きな事をして、収入を得るなど、自立できるスキルを磨き、自由に収入を得たいと考える傾向があるのもZ世代の特徴です。

そのため、ITスキルを高める、国家資格を取得する、SNS広告で収入を得るなど、自分のスキルやマーケティング力を身に着け、組織に縛られることなく自分の力で稼ぎたいという欲求があります。

③ 安定感

プライベートを充実させたいという考えから、安定した職場で働きたいと考えるのもZ世代の特徴の一つです。

好きな事を仕事にするのではなく、福利厚生が優れている、業績がアップしているなど、安定した収入を得て、プライベートを充実させたいという傾向が見られます。

Z世代を新卒採用する上で大切なポイント

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採用活動には、自社にマッチした母集団を形成する事が欠かせません。
Z世代を新卒採用するには、Z世代が良く利用するツールを知り、適した情報発信が必要です。

では、Z世代を効果的に新卒採用するためのポイントを見ていきましょう。

① 多様なチャネルでリアルな声を発信する

誰もが知るような大企業は別として、中小企業はまず、企業に興味を持って貰う事から始めなくてはなりません。

Z世代は、いろいろなSNSツールを使い分けています。例えば友人とはInstagram、企業情報を得るにはTwitterなど、繋がる相手により使い分けており、多様なコニュミケーションを構築しています。

まずは、学生に自社を知ってもらうためにも、Z世代が良く使うSNSツールのうち、1つではなく複数のSNSを使い分けて、企業の情報を発信しましょう。

特に、現場で働く社員の声を定期的に発信する、交流会のお知らせを定期的に流すなど、“定期的に”“職場リアルな声”を発信する必要があります。

② フラットな職場環境

Googleの調査では、自分の意見が職場でストレスなく発言できる心理的安全性の高い職場が、生産性が高いという結果が出て、上下関係の敷居が低く、意見交換がしやすい環境づくりについて、注目が集まりました。

SNSで多くの人とコミュニケーションを気軽に取ってきたZ世代は、特にストレスや威圧感を感じることなく、オープンな意見交換が出来る職場環境を求めています。

Z世代を迎えるにあたり、自社の職場環境がフラットで意見交換がしやすい環境かどうか見直してみましょう。

③ インターンシップの開催

学生に職場で実際に働いてもらい、自社の職場を肌で感じてもらうインターンシップを導入するのも、学生に興味を持ってもらう一つの方法です。

職場に学生を受け入れるには、受け入れ態勢やセキュリティー面など、大変な一面もありますが、応募前に、学生の仕事への向き合い方や能力などが分かる、学生に職場環境を認知してもらえる、フラットな職場だと感じてもらえるというメリットがあります。

④ 学生の日程に応じた採用スケジュール

多くの情報であふれる社会では、せっかく学生に情報を流しても、学生の忙しい時期や就活に興味がわかない時期では、あまり関心を持って貰えないかもしれません。

例えば、大学生であれば、大学3年生の4月位から就職活動に向けて、本格的に自己分析や業界分析を始める学生が出始め、6月には、エントリーがスタートします。

情報の発信には、学生の動きに応じたスケジュールが必要です。
インターンシップの開催やオンライン説明会などは、複数回に分けて情報発信する方が効果的でしょう。

Z世代を企業に迎えるために企業が出来る事

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新入社員としてZ世代を企業に迎えるためには、入社した後、他の世代とより良い関係を築き、長く会社で活躍できる環境づくりが必要です。

そのために、企業が出来ることは大きく分けて次の3点です。

① 情報をオープンにする

人を募集する際、企業側は良い面をアピールしがちです。
ところが小さな頃からたくさんお情報を見聞きして育ったZ世代では、物事はいろいろな角度から見る冷静さを持ち合わせています。

そのため、企業の課題点や弱点を隠すのではなく、最初から一見マイナス面ととらえられる面もオープンにすることで、かえって企業に対して誠実な面な印象を与えることに繋がります。

② 上下関係を意識しない組織づくり

Z世代は、オープンで上下関係を意識しない環境を好む傾向があります。
また幼いころからSNSなどで、多くのコミュニティを持ち、自分の意見や意思を発言する場があれば、積極的に発言したいという意識もあります。

Z世代だけではないですが、企業が存続し利益を出し続けていくのには、わけ隔てないディスカッションが必要です。

今の職場環境が閉鎖的な環境になっていないか、オープンに意見が言い合える状況なのかどうか、見直しておく必要があるでしょう。

③ 働き方の多様性を考えた体制

Z世代は時間や自由を制限されることを望みません。
働き方改革やコロナ禍で労働者の働き方は、多様性を増し、自由な働き方を選ぶことが出来るようになりました。

中には、会社組織に属することをせずに、フリーランスとして自由な時間を大切にしつつ、自分のスキルや資格を活かして収入を得たいと考える人もいます。

その他、会社に雇用されていても、時間や場所にとらわれないリモートワークや、フルフレックスタイムなど、ダイバーシティを大切にするZ世代を採用するにあたり、就業時間の改正など、働き方の多様性を考えた取り組みが必要です。

まとめ

今回はZ世代と呼ばれる世代の特徴や価値観、採用する時のポイントについてご紹介してきました。

生まれた時から、ネット環境があり、多くの情報の中で育ったZ世代は、価値観に多様性があり、SNSで培ったコニュミケーションスキルを持ち合わせています。

一方時間や場所にとらわれない、自由な環境やオープンな関係を求めます。Z世代を新卒社員として迎える企業は、この記事を読んで、他の世代の価値観や考え方との違いを知り、新卒採用の参考にしてみて下さい!